2024/05/04

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木製帆船「自由中国号」、国立台湾海洋大学の航海園区で一般公開

2020/07/09
65年前の1955年、台湾で初めて太平洋横断に成功した木製の中国式帆船「自由中国号」が8日、国立台湾海洋大学(台湾北部・基隆市)の航海園区で一般公開された。(中央社)

65年前の1955年、台湾で初めて太平洋横断に成功した木製の中国式帆船「自由中国号」が8日、国立台湾海洋大学(台湾北部・基隆市)の航海園区で一般公開された。

 

文化部(日本の文科省に類似)の李永得部長(=大臣)は、「1955年、『自由中国号』は6人の若者の夢を乗せて基隆市正浜漁を出発し、114日間かけて太平洋を横断して米サンフランシスコに到着した。その勇気ある冒険は人々を感動させた。『自由中国号』は夢を乗せて前進しただけではない。100年前、古代の造船方法にのっとって作られたもので、現存する数少ない中国式木製帆船の一つで、その存在意義は非常に大きい」と語った。

 

行政院(=内閣)の蘇貞昌院長(=首相)は今年、国民が海洋についての理解を深め、愛情をもって海洋に接することを目指す「向海致敬(=海に敬意を払う)」政策を打ち出している。海洋国家の国民として、海洋を恐怖の対象としてではなく、勇気をもって冒険・探究する対象、あるいは夢を追い求める対象として見てもらうのが狙いだ。このため李永得部長も挨拶で、「文化部はこの政策を実践するため、海洋文化財の保存や維持・保護に努めていきたい」と抱負を述べた。

 

国立台湾海洋大学の張清風校長(=学長)によると、米サンフランシスコに到着した「自由中国号」はその後、57年にわたって現地で放置されたままとなっていた。2009年に発見され、2012年にようやく民間の海運大手である陽明海運によって基隆港に送り届けられた。修復後は国立海洋科技博物館(基隆市)の「探索館」建設予定地に安置されており、一時は台湾南部・台南市に移送する計画も持ち上がった。その後、文化部及び海洋文化の保存に関心を寄せる財団法人張栄発基金会の協力を得て産官学連携が実現。建造100年以上になるこの木製帆船はついに、国立台湾海洋大学の「船舶園区」に永久保存されることが決まった。

 

「自由中国号」はもとの名前を「勝孝利号」という。19世紀、中国・福州市馬尾にあった造船業者が作った。古代の造船方法にのっとって作った船で、1955年に台湾の周伝鈞さんほか数名が、アメリカで開催される第125回大西洋横断レースに出場するためにこれを買い取り、「基隆号」と改名した。その後、当時省主席だった厳家淦氏の指示で「自由中国号」に再改名された。

 

1955年4月、周伝鈞さんや种玉麟さんなどが舵を取る「自由中国号」は基隆市正浜漁港を出発。114日間かけて太平洋横断に成功し、米サンフランシスコに到着した。結局当初の目的だった大西洋横断レースには間に合わなかったものの、動力を持たない木製帆船による初の太平洋横断という快挙を成し遂げたことは大きな歴史的意義を持つとして顕彰された。

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