2024/05/04

Taiwan Today

政治

農委会、国産「雑糧」の消費拡大で食料自給率40%目指す

2020/07/09
行政院農業委員会がトウモロコシやアズキ、大豆など国産「雑糧」の消費を拡大し、食料自給率の改善に乗り出すことを発表した。写真は8日の記者会見の様子。「雑糧」生産の関係者が集まり気勢を上げる。(中央社)
行政院農業委員会(=農委会、日本の農水省に相当)が8日、「国産雑糧整合行銷啓動」(国産雑穀統合マーケティングスタート)記者会見を開き、食料自給率の改善に乗り出すことを発表した。
 
台湾で言う「雑糧」に含まれる作物は日本の雑穀とはやや異なる。台湾で生産される「雑糧」は主にピーナッツ、トウモロコシ、サツマイモ、大豆、小麦、ゴマ、コーリャン、アワ、アズキなど。2019年の作付面積は約7万5,300ヘクタールで生産量は約46万トン、金額ベースでは約104億台湾元(約374億日本円)。一方でアズキ、トウモロコシ、小麦などの年間輸入量は800万トンに達し、台湾で必要とされる「雑糧」のうち国産のものが占める割合は約6%にすぎない。
 
今年は新型コロナウイルス(COVID-19)や極端気象の関係で、各国ともに食料の安全保障に関心を寄せている。台湾における食料自給率は現在34%。農業委員会によれば今年は35%を上回る見通しだが目標は40%で、この目標を達成するために重要なのが国産「雑糧」なのだという。
 
農業委員会農糧署では近年、台湾全土の小中学校3,000校あまりで、生徒が毎週1回は国産で「遺伝子組み換えが行われていない」大豆を使った豆乳を飲むようにするなど、国産「雑糧」の消費を広げる取り組みを進めている。今年は99万7,000台湾元(約359万日本円)を支出して約67万本の豆乳を提供した。使用された大豆は約27トン。来年は876万5,000台湾元(約3,155万日本円)の予算でこれを285万本に拡大、国産大豆の使用量を145トンに増やすことにしている。
 
食品メーカーに国産「雑糧」の使用を促していくため、農業委員会では輸入に関する規定を調整している。アズキを例にとると、関税割り当て(一定の数量まで無税または低税率の関税を適用する)の対象以外の部分の関税を引き上げると共に、関税割り当てを受ける権利の落札金も1キロ6台湾元(約22日本円)から12台湾元(約43日本円)へと大幅に値上がりしていることから、今では輸入アズキの価格は生産地での価格をはるかに上回っている。このため食品メーカーには消費者の好みに合わせて国産アズキの使用を増やすよう働きかけることが出来るのだという。
 
農業委員会では、今後もこうした輸入に関する規定のほか検疫などの措置を講じることで国産「雑糧」の販売拡大に向けた環境と条件を整え、輸入品の強みである価格差がこれ以上広がらないようにする。同委員会では国産「雑糧」の品質の良さをアピール、人々が消費することは台湾農業の持続可能な発展につながり、食料自給率も高まるとして、消費者は値段の安さだけで輸入「雑糧」を使った製品を選ぶことのないようにと呼びかけた。
 
 

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