2024/05/04

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最近注目の先住民族の伝統食材「木虌果」、新品種を台東1号と命名

2020/07/10
行政院農業委員会(日本の農林水産省に相当)台東区農業改良場はこのほど、専門家を招いて開いた会議で、台湾原産「木虌果(ナンバンカラスウリ)」から育成した新品種を「台東1号」と名付けることを決めた。(中央社)

約2年前から注目されている農作物「木虌果(ナンバンカラスウリ)」。台湾東部に住む先住民族が大切にしてきたウリ科の植物で、アミ族の言葉ではsukuy、プユマ族の言葉ではhamunlyと呼ぶ。行政院農業委員会(日本の農林水産省に相当)台東区農業改良場はこのほど、専門家を招いて開いた会議で、台湾原産のナンバンカラスウリから育成した新品種を「台東1号」と名付けることを決めた。台湾でナンバンカラスウリに品種名が付けられるのは初めてのこと。

             

台湾東部に住む先住民族はかつて、ナンバンカラスウリの青い実を生で食したり、葉の部分を食べたりしていた。近年、行政院農業委員会台東区農業改良場が普及に努めていることや、熟した果実にリコピンやβ-カロテンが多く含まれ利用価値が高いことが知られるようにったことから、台東県成功鎮の農会(=農協)や台東県の有名レストランなどがナンバンカラスウリを販売したり、ナンバンカラスウリを食材に使った料理を提供したりしている。

 

台東区農業改良場によると、この新品種は台湾原生種の地方品種を対象に、数年かけて選び抜いた品種を育種したもの。生長の勢いが良く、夏は作付けからわずか59日間で果実が熟す。これは東南アジアの品種に比べると2分の1から3分の2である。1ヘクタール当たりの生産量は年間43.8トンで、対照した在来品種や現在栽培されている地方品種と比べて生産量が2倍近くに達する。早熟で収穫量の多い品種と言える。

 

6年間にわたる育種と研究の結果、他の作物とは異なる雌雄異株植物の特徴を克服した「台東1号」は、台湾中部・北部の冬の時期を除けば、台湾全土の平地や低標高地で一年を通して栽培することが可能になった。育てやすく、寿命は3年以上になる。

 

新品種の果実は形が整っており、熟した果実は赤みがかかったオレンジ色をしている。ねばねばした仮種皮も剥がしやすい。果汁、ジャム、ババロア、ゼリー、アイスクリーム、アイスキャンデーなどに応用することができる。また、調理することで栄養豊富なチキンスープ、リゾット、鍋料理などにすることもできる。幅広い応用が可能で、台東地域の先住民族の農業の多様化・特色化の助けになると見られている。

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