2024/05/06

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天理教東門教会と黄文医生故居が嘉義市の定める「古跡」に

2020/08/06
台湾中南部・嘉義市にある「天理教東門教会」と「黄文医生故居」(黄文医師旧居)が、3日に開かれた同市文化資産審議会の結果、市の「古跡」(史跡)に指定されることに。写真は「天理教東門教会」。建物の内外ともに日本の神道の色彩が濃い。(嘉義市文化局のフェイスブックより)
台湾中南部・嘉義市にある「天理教東門教会」、「黄文医生故居」(黄文医師旧居)、「嘉義市北社尾王姓宗祠」(北社尾地区にある「王」を姓とする家系の祠)の所有者や管理者はさきごろ同市に対し、これら建物を市の「古跡」(=史跡)に指定する審査を要請。同市はこれを受けて8月3日に文化資産審議会を開き、「天理教東門教会」と「黄文医生故居」を「古跡」に指定することを決定した。「北社尾王姓宗祠」は従来からの「歴史建築」にとどめる。「古跡」と「歴史建築」はいずれもその歴史的価値を評価するが、文化資産保存法によって「古跡」は保存が強制されるのに対し、「歴史建築」は保存が奨励されるに過ぎない。同市において、建築物所有者の自発的な要請によって「古跡」指定が実現したのは「天理教東門教会」と「黄文医生故居」が初めて。
 
「天理教東門教会」は建てられて80年あまり。日本統治時代から今日までの嘉義市の発展を見守って来た。昨年は隣家の火災による被害に遭ったが今年修繕が完了。東門教会は文化資産を完全な形で次世代に残したいとして「古跡」審査を要請した。
 
嘉義市文化局によると、「天理教東門教会」は町の発展と深く関わっている。1904年、阿里山森林鉄道敷設のため嘉義にやって来た日本人の弥市郎と妻の加藤金は嘉義市で布教に努め、1913年に東門布教所を開設した。そして1935年、地元の製材工場3社による優良なヒノキの寄付を得て現在の建物が完成した。
 
嘉義市の黄敏恵市長は、同教会は信仰の中心であるだけでなく、より重要なのは台湾のヒノキ建築のうち特に上等な木材が使われていることで、その木材全てが歴史的な意義を持つと指摘。黄市長は、「古跡」に指定されて同教会は市民が共に守っていく公共財になるのであり、崇敬の心で足を踏み入れれば、みな特別な気持ちになるだろうと語った。
 
「黄文医生故居」の所有者で医師の王伯智さんによると、「黄文医生故居」の前身は1935年に開店した「津本食堂喫茶部」。黄文医師がその後日本人から土地建物の所有権を買い取り、店舗の一部を改造して診療所及び居宅として使用したのだという。王伯智さんは、市の「古跡」となることで建物の歴史的な価値がそのまま残され、後世の人々がこの建物を通じて黄文医師の人生が町の発展とどう関わっていたのかを理解してほしいと希望した。
 
 

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