米国の対台湾窓口機関である米国在台協会(AIT)が5日、米国のアレックス・アザー(Alex Azar)厚生長官が近日中に台湾を訪問すると明らかにした。米国の厚生長官が台湾を訪問するのは初めてで、米国の内閣構成メンバーによる訪台も6年ぶり(2014年に当時のジーナ・マッカーシー環境保護庁長官が訪台)。また、アザー厚生長官は1979年に中華民国(台湾)と米国が断交してから台湾を訪れる最高位の閣僚となる。2000年には当時のロドニー・スレイター運輸長官が訪台しているが、厚生長官は大統領継承順位で運輸長官を上回る。
AITは午前に発表したプレスリリースの中で、アザー長官の歴史的な訪問は米国と台湾とのパートナーシップを強化し、新型コロナウイルスに対抗する上での連携を促進すると説明。さらに、台湾は自由で透明な民主社会として新型コロナウイルス対策で非凡な成果をあげており、国際社会においてカギとなる役割を示していると称えた。
中央感染症指揮センター(新型肺炎対策本部)の陳時中指揮官は5日、「アザー厚生長官の来台を大いに歓迎する」と述べた上で、同氏の訪台は台湾と米国との衛生面での協力関係にとって大きな進歩であり、政治的にも大変有意義であるとの見方を示した。陳指揮官は、同氏の訪台は台湾と米国との関係における重大なマイルストーンであると共に、台湾が全世界の公衆衛生に向けて邁進する大きな一歩を後押しするものだと強調、世界における台湾の可視性を高めることが出来、WHO(世界保健機関)をはじめとする各国際組織に台湾が参与していく上でも助けになろうと歓迎した。
なお、アザー厚生長官率いる米国からの代表団には入国後の隔離措置はとらない方針。新型コロナウイルスの感染対策として海外からの入国者に強制している14日間の隔離(外出禁止)が免除される初めてのケースとなる。
陳時中指揮官は特例として対応すると説明。代表団は専用機を利用するほか、出発前3営業日以内のPCR検査による陰性報告を提出しなければならない。また、到着後にも検査を受け、滞在期間中は常に団体行動で外部との接触を防ぐ。陳指揮官はこのため隔離は必要ないとしている。蔡英文総統との対面ではハイレベルの感染防止策をとる。
なお、陳指揮官は、今後重要な人物が台湾を訪問するケースが増えるだろうとして、団体行動や地元の人たちとの接触を避ける方式で、「トラベル・バブル」(国と国とが協定を結んで1つの「バブル=泡」に入り、その中での往来を自由にする構想)をスタートさせる考えを示した。