2024/05/03

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嘉義県の古跡、林懐民さんの祖父の診療所が文化交流の場として修復へ

2020/09/23
クラウド・ゲイト・ダンスシアターの創設者・林懐民さんが、祖父の林開泰氏が診療所を開いていた旧居(写真)の修復工事起工式に参加し、文化交流の中心として生まれ変わることに期待した。(嘉義県サイトより)
台湾の世界的なコンテンポラリーダンスカンパニー、クラウド・ゲイト・ダンスシアター(雲門舞集)の創設者である林懐民さんが22日、祖父の林開泰氏が診療所を開いていた旧居の修復工事起工式に参加し、ここが文化交流の中心として生まれ変わることに期待を寄せた。
 
この住宅は2016年に所在地の嘉義県(台湾中南部)によって古跡に指定され、林家の家族が同県に寄付したもの。同県では所有権を取得すると調査と修復計画に着手、その後文化部(日本の省レベル)文化資産局より3,800万台湾元(約1億3,600万日本円)の補助を獲得し、22日に起工式が開かれた。
 
林懐民さんによると、出生時に祖父はすでに他界していたが、自身と家族のいたるところに祖父の影響が感じられるという。また、診療所としていた居宅は白い壁と木製の装飾のみで、その素朴なスタイルは林開泰氏の質素な暮らしの原則を表している。
 
林懐民さんは、林家の家族と年長者はみな祖父の遺した「公而忘私」(私欲を捨て公に尽くす)の家訓を堅持しており、このため旧居を寄付することにしたと説明、修復が終わってからは頻繁に国内外の文化交流活動が行われ、ここが嘉南平原における文化の中心に生まれ変わるよう期待した。嘉南平原は台湾本島の西側で、台湾中部の雲林県、嘉義県・市、同南部の台南市と高雄市にまたがる平野のこと。
 
嘉義県の翁章梁県長(県知事)によれば、林開泰氏は医師で、地元の新港郷の人々とは暮らしと心の面で固く結ばれていた。このためそうした「記憶の修復」は新港郷民と嘉義県にとって大変重要で、同県ではこの旧居を嘉義県と台湾、さらには嘉義県と世界とを結びつける重要な文化の集落に発展させる考えだという。
 
また、嘉義県の文化観光局によると、林開泰氏は清の時代の地元の秀才、林維朝の2人目の子どもで、医学と詩の創作に精通し、しばしば貧しい人たちに無償で治療を施したことなどから「詩人良医」というあだ名を得た。また、11人いた子女の多くは学問に優れていたため、この家は「博士窩」(博士の巣)と呼ばれたという。長男の林金生氏は嘉義県長、雲林県長、内政部長(内政大臣)を歴任、最初の孫である林懐民さんはクラウド・ゲイト・ダンスシアターを立ち上げて世界に名を馳せるようになった。
 
この旧居が建てられたのは日本統治時代の1933年(昭和8年)。すでに87年が経過しており、建物本体に多くの損傷箇所があることから工期は450日間と設定、2022年の完成を目指す。完成後この住宅はかつての姿を取り戻すほか、人々が文化を体験できる場に生まれ変わることとなる。
 
 

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