2024/05/05

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政治

国立台湾美術館、日本統治時代の官展入選作品を一挙公開

2020/11/26
国立台湾美術館(台中市)は今月28日から2021年4月11日まで、日本統治時代の台湾で行われた官展の入選作品83点を一挙公開する特別展「経典再現-台府展現存作品特展」を開催する。写真は25日に台北市内で開催された記者会見の様子。(文化部)
国立台湾美術館(台湾中部・台中市西区五権西路一段2号)は25日、日本統治時代の台湾で行われた官展の入選作品83点を一挙公開する特別展「経典再現-台府展現存作品特展」(11月28日~2021年4月11日開催)の記者会見を開催した。展示される作品のうち、国立台湾美術館が所蔵する作品は23点、台北市立美術館が所蔵する作品は20点。そのほかは陳澄波文化基金会、郭雪湖基金会、創価学会、李梅樹紀念館、それに民間のコレクターなどから借り受ける。
 
日本統治時代の1927年にスタートした台湾美術展覧会(台展)は、台湾の近代美術に新たな時代をもたらした。1938年から1944年までは台湾総督府美術展覧会(府展)と改称した。日本統治下の台湾で開催された官展(「台展」及び「府展」)は合計16回だが、現存する入賞作品は多くない。今回の特別展は、国立台湾美術館が現存する83の作品を各方面から集め、一挙公開するものだ。
 
文化部(日本の文科省に類似)の李永得部長(=大臣)は記者会見で、「台湾美術史の再構築は非常に重要なことだ。しかし、『台展』、『府展』の入選作品の多くは散逸しており、現存する作品は全体の10分の1に満たない。これからも失われた作品を探し、そして収蔵していきたい」と述べた。
 
国立台湾美術館は2019年、「台展」と「府展」の図録を現代のデジタル技術と印刷のクオリティによって復刻・出版するプロジェクトを立ち上げ、台湾美術史を作り上げてきた名画の数々を復刻してきた。国立台湾美術館はまた、国立成功大学(台湾南部・台南市)の蕭瓊瑞教授に委託し、「台展」と「府展」の入選作品に対する大規模な調査を行い、入選作品の現存・散逸の状況を把握することに努めた。
 
今回の特別展には陳澄波の作品『涛声』も展示される。1939年に開催された第二回「府展」に入選した油絵で、陳澄波の孫で陳澄波文化基金会の董事長(=会長)を務める陳立栢氏が5~6年前、サザビーズのオークションで5,500万台湾元(約2億日本円)を出して買い戻した作品だ。ほかにも林玉山の『蓮池』、薛萬棟の『遊戯』、李梅樹の『小憩之女(邦題:憩ふ女)』などが展示される。
 
「経典再現-台府展現存作品特展」は今月28日から2021年4月11日まで、国立台湾美術館で開催される。
 

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