2024/05/07

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政治

ベトナムで「中国語学習熱」、教育部の中国語能力試験でも最大の「試験会場」に

2021/10/21
教育部が昨年、各国で行った中国語能力試験には2万人が参加。ベトナムは受験生全体の1/3以上を占めた。「中国語ブーム」に火をつけたのは台湾が派遣した教師たちだったという。写真は駐ベトナム台北経済文化弁事処が開いた中国語教師研修キャンプ。右から同弁事処教育組の朱多銘組長、張舒晴秘書。(中央社)
教育部(日本の文部科学省に類似)が昨年、各国で行った「華語文能力測験」(中国語能力試験)には合わせて2万人が参加。そのうち最大の「試験会場」となったのはベトナムで、受験生全体の1/3以上を占めた。ベトナムでの「中国語ブーム」に火をつけたのは教育部が派遣した中国語教師だったという。駐ベトナム台北経済文化弁事処教育組(部)が20日にオンライン形式で開催した中国語教師研修キャンプの中で、同組の張舒晴秘書がこれらのデータを明らかにした。
 
教育部は2021学年度(2021年8月~2022年7月)に4名の中国語教師をベトナムのフエ市以北に「派遣」。新型コロナウイルスの影響でまだベトナムに入国は出来ていないが、リモート授業が続々と始まっている。張秘書によると、ベトナムは中国語教師最大の派遣先。台湾が海外に派遣する中国語教師約200名のうちベトナムへは1/3近く、60名の枠が割り当てられている。2020年に教育部が各国で行った「華語文能力測験(TOCFL)」を受験したのは2万人。ベトナムでは全体の1/3を超える約8,200人が受験した。
 
ベトナムでなぜこうした「中国語ブーム」が起きているのかについて張秘書は、ベトナム語の6~7割が漢越語(ベトナム語における漢字語・漢語の語彙)であることで、ベトナム人にとって中国語の学習が相対的に容易だからではないかと述べている。また、ベトナム人が中国語を学ぼうとする原動力は、「台商」(台湾資本で主に海外で活動する企業)による人材探しや、ベトナム人学生の台湾留学などと深く関係しているということ。
 
2020年、台湾で学ぶ海外籍の学生のうちベトナム人は1万7,500人あまりで最も多くなった。駐ベトナム台北経済文化弁事処教育組(部)の朱多銘組長(部長)は、台湾からの中国語教師の影響で台湾留学を決めた人も少なくないと指摘。かつてベトナムにおける「中文系」(中国文学科)の教師はほぼ全員中国に留学していたが、最近では「台湾留学派」が現れ始めたという。
 
朱組長によると、台湾の中国語教師のベトナム派遣は2007年からで、すでに10年以上の実績がある。教師たちはベトナムのそれぞれの大学で中国語を教えると同時に台湾の思想や観念もベトナムの学生たちに伝えており、学生たちはたとえ出国していなくても台湾からの新たな知識を吸収できるのだという。
 
台湾からの中国語教師たちがベトナムでの「中国語学習ブーム」に火をつけたのに加えて、ベトナムの経済界における「台商」たちの実力により、台湾発の中国語教育は徐々にベトナムで独自の道を歩み出した。朱組長はその例として、ベトナムの一部の大学が台湾の大学などと提携して「台湾学」講座を設け、「正体字」(=繁体字)や台湾文化などを教えようと計画していることを説明、「台商」へのアクセスをたやすくするためだと指摘した。
 
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で、中国語教師の海外赴任意欲も影響を受けている。2021学年度、ベトナムのフエ市以北とラオスでは合計28名の中国語教師が求められているが、現時点で派遣に選ばれた教師は10名に満たない。教育部では、ベトナムでの感染が下火になってから継続的に募集を行っていく方針だという。
 
 

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