2024/05/02

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政治

「心田を耕す」、台湾の芸術家が50万本の竹ひごでワクチン提供の日本に感謝

2021/10/21
台湾の芸術家、游文富さんが日本の「北アルプス国際芸術祭」に参加。50万本の竹ひごで『心田を耕す』を創り上げ、新型コロナワクチンを台湾に無償提供した日本に感謝した。写真は『心田を耕す』。地域住民とボランティアが苗を植えるように竹ひごを一本一本突き刺して制作した。(文化部サイトより)
羽毛と竹を使った作品を得意とする台湾のインスタレーション作家、游文富(ヨウ・ウェンフー)さんがこのほど日本側の招きに応じて「北アルプス国際芸術祭」に参加。50万本の竹ひごを材料に、現地のボランティア100人以上と協力して『種一片心田』(心田を耕す)を創り上げ、新型コロナウイルスのワクチンを台湾に無償提供した日本に感謝した。
 
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」の総合ディレクター、北川フラム氏が総合ディレクターを務める「北アルプス国際芸術祭」は昨年行われる予定だったが、コロナ禍の影響で今年10月に延期されて開催された。今回は各国から36組のアーティストたちが参加。台湾からは游文富さんのほか、日本でも人気を博している絵本作家、幾米(ジミー・リャオ)さんが『我在大町遇見一本書』(私は大町で一冊の本に出逢った)を出展した。
 
コロナ禍の影響により、台湾のアーティストたちが自ら日本を訪れて作品の制作や地元の人たちとの交流に参加できない口惜しさを少しでも晴らそうと、台北駐日経済文化代表処台湾文化センターは日本の芸術メディア「美術手帖」と「名家講堂三部曲-大師導読芸術節」オンライントークイベントを共同開催した。19日にはアジアのアート事情に詳しい日本の文化研究者、山本浩貴さんが司会を務める中、游文富さんが日本の芸術家、浅井裕介さんとリモート対談を行い、コロナ禍の中で外国の芸術イベントに参加し、イベントが開かれる地元の人たちと共に作品を創り上げる経験を紹介した。
 
游文富さんが日本の芸術展に作品を出展するのは初めて。従来予定していた作品は、竹を編んで長野県大町市の、ある公民館を丸ごと包み込むもの。展示場の機能を持つ公民館に、一つのインスタレーションとしての魅力も加えようとした。しかし、コロナ禍のため游さんが訪日して作品を制作することは不可能に。この作品の制作過程は複雑でリモート方式では実現出来ないため、游さんは竹ひごを使った作品に変更した。
 
竹ひごによるインスタレーション『種一片心田』では竹ひごを50万本使用。游さんもこれほど多くの竹ひごを使ったことは無いという。地域住民とボランティア100人以上を募って創り上げたランドアートプロジェクトで、水田に苗を植えるように土に突き刺した無数の竹ひごが金色から白へのグラデーションになり、大町市山間部での夏から秋にかけての田園風景と冬の雪景色を表現している。游さんは地元の人たちの協力に感謝しながらも、出来上がった作品を自らの目で見ることが出来ないことが唯一の心残りでむなしいと話している。
 
幾米さんの作品『我在大町遇見一本書』は、本との新しい出会いの場である書店や、グッズや軽食を提供する移動式販売車を運営。また、信濃大町駅の駅前広場には2人の子ども「書童」がオットセイのように鼻の上に何冊もの本を乗せてバランスを取っているかのような彫刻作品を設置している。書店は幾米さんが2017年の第1回展で出展した「Jimmy’s Bookstore」のテーマを受け継ぎ、さらに居心地のいい読書空間を創り出し、来訪者を本と自然の豊かな世界に誘っている。
 
 

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