2024/05/06

Taiwan Today

政治

欧州議会、台湾との協力強化を欧州委員会などに求めるレポートを可決

2021/10/22
欧州議会は20日、「欧州連合(EU)と台湾の政治関係と協力(EU-Taiwan Political Relations and Cooperation)」と題するレポートを賛成580、反対26、棄権66の圧倒的多数で可決した。外交部は公式ツイッターで「台湾は孤独ではない、という強いメッセージを示すものだ」としてこれを歓迎した。(外交部ツイッターのスクリーンショット)
欧州議会は20日、仏ストラスブールで開催している本会議で、「欧州連合(EU)と台湾の政治関係と協力(EU-Taiwan Political Relations and Cooperation)」と題するレポートを賛成580、反対26、棄権66の圧倒的多数で可決した。このレポートは、EUが加盟国と緊密な連携を図り、台湾との政治関係を強化することや、EUが台湾をインド太平洋地域における重要なパートナー及び民主主義の盟友とみなすこと、台湾とEUの交流をより全方位的なものに引き上げることなどを提言するもの。また、EUのジョセップ・ボレル(Josep Borrell)外務・安全保障政策上級代表に対して、EUが台湾に設置する代表事務所「欧州経貿弁事処(European Economic and Trade Office in Taipei)」の名称を「欧州連合駐台弁事処(EU Office in Taiwan)」に変更し、緊密な協力関係にある台湾とEUの実質関係を反映するよう提言している。これを受けて中華民国(台湾)外交部(日本の外務省に相当)はニュースリリースを通して「心から感謝する」と伝えている。外交部は、このレポートを起草した欧州議会のチャーリー・ワイマーズ議員に敬意を示すと共に、このレポートが台湾とEUの二者関係の向上にとって新たなマイルストーンになると信じていると述べている。以下はニュースリリースの概要。
 
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欧州議会はこのレポートで、中国の台湾に対する軍事的脅威について高い関心を寄せている。とりわけ中国が今年10月上旬、150機を超える軍用機を台湾の防空識別圏(ADIZ)に進入させたことに言及し、こうした行為の即刻停止を呼びかけている。欧州議会はこのほか、EUが台湾海峡の安全を極めて重視しており、EU及びその加盟国が積極的に、近い理念を持つ国々と一丸となって台湾海峡の平和と安定を促進するよう呼びかけている。欧州議会はまた、中国が台湾や南シナ海でなんらかの行動をとれば、欧州と中国の関係に深刻な影響を及ぼすことになるだろうと警告している。
 
このレポートはほかに、EUの政策執行機関である欧州委員会に対しても、台湾との二者間投資協定(BIA)締結に関する影響評価、範疇定義、パブリックコメントの実施など準備作業を速やかに進め、協定締結に向けた交渉を台湾と行う準備をすべきだと指摘している。また、台湾がオブザーバーの身分でWHO(世界保健機関)、UNFCCC(気候変動に関する国際連合枠組条約)、国際民間航空機関(ICAO)、国際刑事警察機構(インターポール)などに参加することを強く支持するというEUの姿勢を改めて示している。さらに、台湾とEU及びEU加盟国が政府高官の交流も含めて、経済・科学・文化・政治・人文などの分野でより交流を深めることも奨励。台湾がリトアニアに政府代表機関を設置することを歓迎し、EU及びその加盟国が積極的に「グローバル協力訓練枠組み」(GCTF)に参加することも奨励している。
  
このレポートは、欧州議会が初めて台湾とEUの政治関係に言及した公式文書であり、台湾とEUの二者関係を強化するための30項目以上の具体的な提言がまとめられている。欧州議会が台湾とEUの二者関係を極めて重視していることが見て取れるだけでなく、EUが台湾の地政学的価値を高く評価していることを示している。
 
今年はEUが台湾に対して査証免除(ノービザ)を実施して10周年の節目の年である。欧州議会がこの時期にこのレポートを可決し、政治、経済・貿易、公衆衛生、教育、科学技術、地域の地政学、フェイクニュースへの対抗、半導体のサプライチェーンの多様化、デジタル・トランスフォーメーションといった全方位的な視野から台湾とEUのさらなる関係強化を支持したことの歴史的意義は極めて大きいと言える。
 
 

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