2024/05/19

Taiwan Today

政治

228事件から76年、蔡英文総統が記念式典に出席

2023/03/01
1947年に失踪したまま行方が分からなくなっている228事件の被害者・蘇水木さんの遺族に名誉回復の証書を手渡す蔡英文総統(中央)。(総統府)
闇たばこ売りの取り締まりに端を発し、1947年2月28日に台湾全土に拡大した市民と政府の衝突、いわゆる228事件の発生から今年で76年が経った。今年初めて、政府主催の記念式典「二二八事件76周年中枢紀念儀式」が台南市(台湾南部)の台南二二八紀念公園で開かれ、蔡英文総統、行政院の陳建仁院長(首相)、立法院の游錫堃院長(国会議長)、文化部の史哲部長(=文化相)、内政部の林右昌部長(=内政相)、台南市の黄偉哲市長、それに228事件や白色テロの被害者及びその家族らが参列し、花を捧げた。式典ではまた、1947年に失踪したまま行方が分からなくなっている228事件の被害者・蘇水木さんの遺族に対して、蔡英文総統から名誉回復の証書が手渡された。
 
蔡総統は式典のあいさつで、2016年の政権発足以降、移行期正義を実現するために系統的な作業に取り組んでいることを説明。その具体例として一党独裁時代に国民党が特権的に取得した資産を国に返還するよう求める「政党及其附隨組織不当取得財産処理条例(=党産条例)」、移行期正義の実現を促進させる「促進転型正義条例」、権威主義時代の228事件や白色テロなどに関する公文書の国への返還を求める「政治档案条例」などの法制化を挙げ、移行期正義の実現が少しずつ成果を上げていると強調した。また、被害者の名誉回復については、不法な判決5983件を取り下げたと指摘。これは国家として初めて、政治的迫害を受けた被害者の汚名をそそぎ、有罪のレッテルをはがすものだと指摘した。政府は同時に、7572件の政治档案(=公文書)の見直しを行っており、これからも政府档案の収集、公開、研究などを通して、歴史の真相を紐解き、台湾の人々にとって共通の歴史の記憶を作っていきたいと述べた。
 
こうした政府の取り組みを紹介した上で蔡総統は、「人によって持っている歴史的評価が異なることもあるだろう。しかし、政府は民主主義、憲政主義の立場を守る責任がある。すべての機関は法で定められた任務を慎重かつ完全に実行し、被害を受けた先人たちを慰め、いまも苦しむ被害者家族の傷を癒す必要がある。過去の痛みや過ちを知ることによって民主的なコンセンサスを築き、団結した未来へ向かうことができる」と述べた。
 
蔡総統はまた、最近デジタルリマスター版が再公開された台湾映画『悲情城市』(監督:侯孝賢)のワンシーンにも言及。蔡総統は、「主人公・文清が獄中で出会った仲間が家族に書いた遺書で『おまえたちは尊厳を持って生きろ。父は無罪だ』と書かれているシーンを見て涙を流した人も多いだろう。228事件で犠牲になった先人たちは尊厳を選択した。それは愛する家族や友人たちが尊厳を選択できるようにするためだ。台湾人が尊厳をもって自由と繁栄を追求し、尊厳をもって世界を渡り歩き、尊厳をもって自分でいられるようにすること、それが私の総統としての責任だ」と述べた。
 

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