ソロモン諸島政府は16日の閣議で、中華人民共和国と外交関係を樹立することを決定した。これを受けて中華民国政府は、ソロモン諸島との外交関係の打ち切りを宣言した。また、ソロモン諸島とのあらゆる二国間協力プロジェクトを全面停止し、中華民国(台湾)がソロモン諸島に置く大使館、技術団、台湾衛生中心（Taiwan Health Center）を直ちに撤退させることを決めた。ソロモン諸島が台湾に設置する在外公館職員に対しても、台湾から直ちに撤退するよう求める。
また、蔡英文総統は16日午後7時半より、ソロモン諸島との国交断絶に関する談話を発表した。談話の内容は以下のとおり。
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全国の皆さん、我々はさきほど、ソロモン諸島との国交断絶を発表しました。ソロモン諸島が中国との国交樹立を決定したことを、我々は大変遺憾に思うとともに、これを強く非難します。
過去数年、中国は金銭や政治方面での圧力を通して、台湾人の国際空間を圧迫してきました。我々はこれを強く譴責します。これは、台湾に脅威を与えるだけでなく、国際秩序に対する公然たる挑戦であり、それを破壊するものです。
長年にわたり、台湾は国交樹立国にとって「本当の友達」であり続けてきました。心を尽くし、誠意をもって付き合ってきました。中国の介入と圧力を前にして、私たちが脅威を覚えたり、相手の思うままになったりすることは決してありません。
私は申し上げます。台湾が、中国と金銭外交を繰り広げることはありません。合理的ではない要望に応えることは、我々の外交スタイルではないからです。しかも、中国が提示する金銭支援の約束は、果たされないことがほとんどです。それに対して、台湾がソロモン諸島の国民のために行ってきたことは、特に医療、農業、教育、文化方面での協力であり、金銭という物差しで計れるものではありません。
明日をもって、我々はソロモン諸島に置いている中華民国大使館を閉鎖します。そして、ソロモン諸島に派遣しているすべての技術団、医療団のメンバーを撤退させます。我々は、両国の友好のために最後の最後まで奮闘してくれた「外交戦士」たちに感謝します。彼らが残している協力プロジェクトは、最後まで成し遂げることはできません。これは確かに残念なことであり、ソロモン諸島の国民にとっても損失です。しかし、これがソロモン諸島政府の選択であるならば、我々もこうした対応をとらざるを得ません。
両国は国交を断絶しましたが、これまで台湾を支持してくれたソロモン諸島の人々には感謝したいと思います。国際社会において、台湾のためにさまざまな根回しをしてくれた人々に感謝します。国交断絶は確かに一つの挑戦です。しかし、台湾には全世界に多くの友人がいて、私たちと肩を並べて戦ってくれます。だから私たちは決して孤独ではありません。
ここ数年で世界中の人々は知るようになりました。中国は、我が国から国交樹立国を奪うという方法や、さまざまな圧力をかけることにより、台湾の住民の士気をくじき、台湾が「一国二制度」を受け入れるよう迫っています。
ですが、台湾に住む2,300万人の住民の答えは「ノー」であると、私は信じています。
台湾の与野党は、中国との関係についてさまざまな見解を持っています。しかし、「一国二制度」を受け入れないということは、台湾にとって最大の共通認識なのです。
私は信じています。台湾から国交樹立国を奪うことは、一時的な話題にはなるでしょうが、台湾海峡両岸関係の発展にとっては「百害あって一利なし」です。
中国のこうした動きは、（米トランプ政権が決めた）F-16戦闘機売却に対する報復であれ、香港の「逃亡犯条例」改正案反対のデモから焦点をずらすためであれ、いずれにしろ台湾住民の信念と団結に影響することはありません。
台湾はその行動をもって全世界に訴えなければなりません。我々が台湾の国防強化を放棄することはありません。我々が、民主主義に対するこだわりや、香港に対する声援を断念することもありません。
我々は引き続き、世界へ向かって歩き出すでしょう。国交があろうとなかろうと、中華民国(台湾)は世界各地で友達を作っていくでしょう。ほかの主権国家と同じように。
全国の皆さん、これから中国からの圧力はますます大きくなり、小さくなることはないでしょう。しかし、台湾の人々はこれに屈することはなく、台湾の政治や選挙に影響を与えようとする中国の企てが成功することもありません。
中国の嫌がらせに対して、台湾は勇気をもって団結し、そして世界へ向けて歩き出す必要があります。我々に退路はなく、恐れをなして妥協することはできません。我々は一致団結し、自分の道を歩み出さなければなりません。