2024/05/05

Taiwan Today

外交

蔡総統がローマ教皇フランシスコに書簡、「世界平和の日」メッセージに呼応

2021/01/14
蔡英文総統はこのほど、今月1日にローマ教皇フランシスコ(Pope Francis)が発表した2021年「世界平和の日」メッセージに呼応する書簡をローマ教皇庁に送った。(総統府)
蔡英文総統はこのほど、ローマ教皇フランシスコ(Pope Francis)宛てに書簡を送った。内容は今月1日にローマ教皇が発表した2021年「世界平和の日」メッセージに呼応するもの。概要は以下のとおり。
★★★★★
ローマ教皇が発表された2021年「世界平和の日」のメッセージは「A Culture of Care as a Path to Peace(平和への道のりとしての「いたわりの文化」)」をテーマにしたものでした。私はこれに深く感服し、同感しました。とりわけ新型コロナウイルス感染症が世界で猛威を振るう中、国際関係や対人関係は相違を克服し、互いにいたわり、協力することによってのみ、この難関を乗り越えることができると私は信じているからです。
 
台湾は2020年初頭の新型コロナウイルス感染拡大以来、積極的に「Taiwan Can Help(台湾がお手伝いできます)」といういたわりの精神を発揮し、各国が防疫物資の不足に陥る中、中南米、欧州連合(EU)、米国、そしてアジア各地の多くの国々に対して数千万枚のサージカルマスクや防護服などを無償提供してきました。
 
2020年10月、教皇は兄弟愛と社会的友愛をテーマにした最新の回勅「Fratelli tutti(フラテッリ・トゥッティ)」を発表しました。これに呼応して在バチカン中華民国大使館は同月、教皇が路上生活者のシェルターとして開放しているPalazzo Miglioriやカトリック教会系が運営する路上生活者用の食堂などで台湾の食べ物を振る舞いました。また、台湾の仏教系慈善団体との協力で、路上生活者に環境の配慮した毛布を配るなどして、「いたわりの文化」と「宗教間対話」の精神を発揮しました。
 
2020年4月、イタリアの新型コロナウイルス感染拡大が深刻になったとき、イタリア出身の聖職者で、台湾で数十年間にわたって奉仕してきた天主教霊医会の呂若瑟(Giuseppe Didone)神父が、故郷のために寄付を呼びかけました。すると、カトリック教会の台湾社会や人々に対する長年の貢献に感謝する台湾住民から寄せられた寄付は、わずか6日間で430万ユーロを超えました。
 
教皇は新型コロナウイルスの感染拡大に触れ、「私たちはみな、同じ船に乗っている」とし、公衆衛生や健康というグローバル・ネットワークから誰も排除されるべきではないと述べました。私はこの言葉に強く賛同します。事実、これは世界保健機関(WHO)が憲章に掲げる設立趣旨でもあるのです。しかし残念なことに、台湾に住む2300万の人々はいまだWHOから排除され続けています。
 
教皇の優れた見識に呼応し、私は「排除」と「周縁化」こそが「いたわりの文化」にとっての最大の敵であると訴えます。それは、平和の追求にとっても最大の障壁です。国際政治は、弱肉強食というジャングルの法則に服従してはいけません。経済力をもって人々が真理を追求する権利を奪い取ることも、ひいては軍事力を人権や自由を迫害するための道具にすることもあってはなりません。
 
2020年8月、私は新たに発足した「国家人権委員会」の銘板除幕式に出席し、台湾が「人権立国」の理想にさらに一歩近づくよう期待を寄せました。
 
国内において、私たちは「いたわりの文化」を基礎とした社会正義の促進に取り組み、約55万人に達する「新住民(=台湾人との婚姻によって台湾にやってきた外国人配偶者とその子女)」が台湾の生活にとけ込めるよう積極的に支援しています。
 
国外に対して、私は教皇と同様、「普遍的人権」が何ごとにも代えがたい価値であることを固く信じています。このため、世界各地で人権を抑圧する事件が発生するたびに、私はメッセージを発信し、迫害されている人々に対して決して孤独ではないことを伝えています。
 
教皇の言葉があらゆる為政者の耳に届くよう、私は心から願っています。特に、いまだに権威主義体制を掲げる国家で、「いたわりの文化」が「力ずくの鎮圧」に取って代わり、「包容の精神」が「文攻武嚇(言葉で攻撃し、武力で威嚇する)」に取って代わること、そして人々が憧れる平和な世界が、決して手の届かないものにならないよう願っています。
 

ランキング

新着