行政院農業委員会（日本の農林水産省に相当）の陳吉仲主任委員（大臣に相当）は3日午後、臨時記者会見を開き、基準値を超える残留農薬や害虫が検出されたことを理由に、中国当局が台湾産のかんきつ類、タチウオ、アジの輸入禁止を発表したことを明らかにした。農業委員会の試算によると、かんきつ類8,000トン（文旦約5,000トン、ポンカン・マーコット・レモン・グレープフルーツなどが約3,000トン）、タチウオ5,500トン、アジ1,000トンがこの影響を受ける。輸出額に換算すると6.2億台湾元（約27.62億日本円）となる。
中国当局は、アメリカ連邦議会のナンシー・ペロシ下院議長の訪台に反発し、台湾のさまざまな食品の輸入停止を発表するなど、台湾に対する経済制裁を強めている。こうした中、中国海関総署はさらに、台湾産のかんきつ類の果物、水産品のタチウオとアジの輸入を禁止すると発表した。
農業委員会の陳吉仲主任委員は3日午後に開いた臨時記者会見で、「中国は基準値を超える残留農薬や害虫のカイガラムシが検出されたことを理由に輸入停止を発表しているが、これは国際貿易の処理原則に違反するものだ。しかも、台湾から輸出された水産品の包装から新型コロナウイルスが検出されたと称して、一方的に貿易を中断したことは、国際貿易の歴史にとって初めてのことであり、世界の農産品貿易にとっても類を見ないことだ」と批判した。
陳吉仲主任委員はその上で、作物の産地価格の過去3年あるいは5年間の平均値以上を確保し、生産者の収益を保障するため、中国以外の市場への輸出、国内販売、農業融資などの強化によって対応していきたいと説明した。
また、水産品については海外市場の開拓を強化するため、輸出相手国や輸送方法に応じて、１㎏当たり40〜90台湾元（約179〜400日本円）の補助を出すほか、海外でのプロモーションや販促活動などに力を入れる考えを明らかにした。