2024/05/07

Taiwan Today

外交

「米国産牛肉問題は慎重に検討」行政院

2012/02/03
台北国際牛肉麺カーニバルのしょうゆ味スープの部門で昨年、1位を獲得した料理人、侯圳生氏は「業界では米国産牛肉は歯ごたえもよく、煮崩れしにくいため、牛肉麺に適しているという認識がある」と指摘。(中央社)

馬英九総統は2日、行政院農業委員会(農委会)の主任委員に新たに就任する陳保基氏と会談し、目下の重要課題である米国産牛肉問題について、国民の健康と国際関係の2大原則に基づいて、農委会がこれを前向きに処理するよう指示した。

米国産牛肉問題は、台湾でこれまで認められていない動物用医薬品ラクトパミンの残留を解禁するかどうかが焦点となっている。先ごろ訪台した米国の対台湾窓口機関、アメリカ在台湾協会(AIT)のレイモンド・バッガード理事長も、この問題を重視する姿勢を示し、台米関係の焦点となっている。

行政院はこれに関し、米国産牛肉問題には現在のところ「スケジュール表はない」とし、政府は慎重に検討しながら処理する方針であり、決まった方策やプロセスはなく、またあらかじめ前提を設けることもないと強調、解決に向けた共通認識と方法を見出したいと表明した。行政院の報道官を務める楊永明新聞局長は、「米国産牛肉に関する問題は、すでに長期にわたり、台湾のみならず、多くの国が市場開放や自国の農業の保護、衛生・安全において直面している課題だ」と述べた。

また、外交部の章計平報道官は、台米間の貿易投資枠組み協定(TIFA)が各種の経済・貿易問題に関する議論の重要なプラットフォームとなるとの期待を示し、これをを通じて同問題について話し合うことを望むと述べた。また、1日も早いTIFAの締結に向けた交渉再開で、双方の経済・貿易関係を強化したいと表明し、牛肉の問題についてもこのプラットフォームを通じてコミュニケーションと意見交換ができると指摘した。なお、この問題と、米国の査証免除プログラム(VWP)の適用開始とは無関係だとした。

経済部関係者は「牛肉問題が未決のままでは、TIFAの締結交渉の進展が難しいばかりか、将来的な台米間の自由貿易協定(FTA)の締結や、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の参加にとっても障害となる」との見方を示した。

一方、衛生署はラクトパミンの残留基準を90ppbとしても、一人当たり1日平均で13.5マイクログラムの摂取となり、摂取許容上限の60マイクログラムを下回るとの試算を示した。ただ、林口長庚記念病院の林杰樑・臨床毒物科主任は「これは健康な人にのみ適用できるもので、欧州連合(EU)は早くから心臓・血管など循環器病の高リスク群には10倍厳しい基準を適用すべきだと提言している」と述べた。

農委会の高官は2日、ラクトパミンの残留を解禁するかどうかについて、①消費者の食と健康の安全②全体的な国際貿易の流れへの配慮③政府の産業支援に対するニーズといった3つの大きな方向性を定めていることを明らかにした。

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