2024/05/05

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「米国産牛肉問題は健康第一に総合的判断を」馬総統

2012/03/05
台北市や高雄市、基隆市、台中市、屏東県など各地の衛生当局が、米国産牛肉のサンプル検査を行っている。(中央社)

馬英九総統は4日、これまで認められていない化学物質ラクトパミンの残留を解禁するかどうかで問題となっている米国産牛肉について、「国民の健康を第一に、産業から経済・貿易、国際関係まで長期的な国家発展を総合的に考慮した上で、すみやかに方針を提示するよう行政院に指示すると同時に、立法院との意思疎通を図っていく」と強調した。

総統府の范姜泰基報道官は、同日午前に開催された米国産牛肉に関する関連省庁会議ののち、政府の立場は「国民の健康と経済、外交上の利益を全面的に考慮する」という極めて明らかなものであり、政府の政策にも若干の柔軟性を持たせることが必要だと説明した。ただ、国民の健康に確実に害を及ぼすものであれば、これを犠牲にして経済・貿易および外交上の利益を取ることはあり得ないと述べた。

なお、この問題について、行政院食品薬品安全プロジェクト会合のもとに立ち上げられた技術諮問チームは3日、3回目の会議を開き、ラクトパミンを科学的な視点から検討すると同時に、社会から強い関心を集めていることについて、専門家らに意見を求めた。行政院農業委員会(農委会)は各界からの要求に応じて会議のプロセスをガラス張りにするよう求め、今回の会議は生中継で公開された。また、民間団体が推薦する医師2人も議論に参加し、結論をまとめた。

参加者はこれまでの議事録を確認し、海外の文献によると、ラクトパミンが心悸亢進などの副作用を起こすのは5,000マイクログラム以上を直接内服した場合であると説明した。また、現在のところ閲覧可能な文献において、ヒトがラクトパミンを含む肉製品を食用した場合の大規模な病理学的研究はなされていないが、食中毒などの症例報告もないという。さらに、ヒトの体内におけるラクトパミンの半減期は短く、24時間で80%以上が排出されることが確認されている。

また、米国に対し、2000年から2011年にかけ17万頭のブタについて死亡や症状が出たと報告された症例について、ラクトパミンがその死亡や病理発生に関与したことを確定できる、疑いがある、可能性がある症例に分けて説明するよう求めた。

農委会は、技術諮問チームの任務はラクトパミンの技術的な問題を明らかにし、政府が公益に合致する政策決定を行うために情報を提供するものだと説明。このため、諮問チームは専門性を堅持し、国民の健康の保障、産業発展、国際基準との合致を3大原則として、「専門的な配慮」と「リスクコントロール」に基づき検討を進めるとともに、科学的事実を基準に正確な情報を整理して、国民の参考に供すると強調した。

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