2024/05/04

Taiwan Today

外交

日本の野田前首相が台北で講演、震災時の支援に感謝

2015/05/01
日本の野田前首相(中央左)が4月30日午後、台北市内で講演。中央右は講演会の主催者、対外関係協会の名誉会長を務める蕭萬長前副総統。(中央社)

日本の野田佳彦前首相が4月30日午後、社団法人対外関係協会の招きに応じ、台北市内で「日本の再生と日台関係」と題して講演した。野田氏は冒頭で、2011年の東日本大震災発生時に中華民国(台湾)が提供した巨額の義援金等の各種支援に触れ、「(震災で日本の)気持ちが落ち込み、弱り、苦しい思いをしている時に最も救いの手を差し伸べてくれた。真の友人を確認できた」と話した。そして2011年9月に首相として衆議院本会議で謝意を表明したが、台湾で直接謝意を述べたいという思いで訪台したと説明、「本当に、皆様にはお世話になりました。ありがとうございました」と述べて深々とお辞儀をした。

また震災から1年後に行なわれた追悼式では「台湾の代表に十分な心遣いが出来なかった」として謝罪した。この時、中華民国の駐日代表は外国や国際機関の代表が行なう指名献花から外されたため、副代表が参列し、一般参加者として献花した。

野田氏は、自由、民主主義、法の支配の基本的価値観共有の土台が日本と台湾の長期にわたる友好関係、信頼関係を築いたとして、首相任期中にはさらなる関係強化に取り組んだと説明し、任期中に締結したオープンスカイ協定などの効果を歓迎した。一方で、台湾が日本食品の輸入規制を強化することについては、食品の安全性に極めて敏感な日本人が審査、検査した上で食べており、輸出しているとして、科学的な根拠に基づく慎重な対応を望むと述べた。

野田氏は日本の少子高齢化問題について、子育て支援や教育支援の必要性を指摘すると共に、人口減少でもはや内需に頼れないことを強調、「貿易・投資の垣根を低くし、グローバルな需要を取り込む」として、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)など地域経済統合への取り組みと、そのルールメイキングの重要性を訴えた。

野田氏は、ルールメイキングには貿易・投資のみならず、領海・領土の問題もあり、こうした問題を国際法に則って平和裏に解決し、紛争を予防する知恵が大切だと強調、近隣諸国とこれらの問題意識を共有できるよう希望した。また、アジアインフラ投資銀行(AIIB)については、イギリスやドイツが「域外」であるのに対し、アジアの国々は「域内」なので責任が違うとし、ガバナンスの行方などをあせらず注視していくべきとの見方を示した。

野田氏はまた、戦後70周年の今年、日本政府は慎重な言動が必要だと述べ、挑発せず挑発に乗らない「大人の、冷静な外交」を求めた。さらに野田氏は、国・地域内での格差拡大が外向きの挑戦的な行動につながる可能性があるとして、グローバルリスクは気候やテロの他、各国・地域内の格差問題も含んでおり、そうした中でリアリズムに則った外交、安全保障を考える必要があると主張、自由、民主主義、法の支配、平和を願う気持ちを共に持つ台湾と問題意識を共有し、連携を取りながら垣根を低くし、より良好な関係を築きたいと結んだ。

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