2024/04/30

Taiwan Today

経済

百年の歴史持つ羽毛製品メーカー、「ゴミ回収」から隠れた王者に

2016/11/28
台湾の合隆毛廠は優れた羽毛製品を世界で販売。その品質の高さには定評がある。(行政院農業委員会サイトより)

台湾の合隆毛廠株式会社(HOP LION FEATHER WORKS CORP.)は創設されて108年。毎年日本で生産される羽毛布団100万枚のうち、50万枚は日本における同社「支店」の株式会社ホップライオンジャパンによるもので、同社は台湾の羽毛(ダウン)産業界の隠れた王者と呼ぶにふさわしい。

台湾北部・台北市の栄星花園(公園)の向かい側に聳え立つビルにある合隆毛廠の創業者たちは清朝に中国大陸の福建省から台湾に渡ってきて台湾に根を下ろした。当時、羽毛を集めるのはゴミの回収と同然だったが、現代では社会に不可欠な「資源リサイクル業」である。

合隆毛廠は世界中で原料を調達し、製品も世界で売りさばく戦略を採っており、世界各地に設けている工場ではそれぞれが現地の市場向けに独立して販売に当たっている。原料の調達は70%が中国大陸から。残りの30%は欧米と東南アジアから買い付けている。

羽毛は鳥類を食用などで処理する際に出る「副産物」。すでに数代にわたって羽毛ビジネスに従事してきた合隆毛廠は羽毛処理の技術とノウハウを有しており、また各地の原料の仕入先と販売動向も十分把握している。量の多い中国大陸産のアヒルやガチョウの羽毛は整理分類してから欧州に販売する。同時に欧州の高品質なアヒルもしくはガチョウの羽毛も輸入するなど、合隆毛廠の売上げに原料の売買が占める割合は80%に上っている。

しかし、原料を売るばかりで、ビジネスの柔軟な変革に乗り出さないのでは合隆毛廠が持続可能な経営を実現することは不可能。このため合隆毛廠は数年前から消費者向けの製品に取り組み始め、今年は正式に自社ブランドの「合隆羽蔵」を立ち上げると共に、「保温素材の多元化」のプラットフォームから着手し、全力で顧客のニーズを満たしていくことを決めた。

合隆毛廠はサプライチェーンの川上と川下、及び顧客との間で、「1+1>2(1に1を足せば2より大きい=相乗効果)」というモデルを維持し、共同で市場を拡大していく姿勢を貫いている。そうしてこそ、世代を超えて事業を継承していく上で、台湾の技術、サービス、実力が経営の安定と質の高い製品の生産のための重要な役割を担え、永遠に取って代わられることがなくなると考えているからである。

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