2024/04/30

Taiwan Today

経済

航空会社を定年退職、高価なバニラの栽培に成功

2017/07/14
航空会社を定年退職した劉永城さん(写真)は、香料バニラの材料であるバニラの栽培に成功。より多くの農家が栽培に加わり、バニラを台湾の産業として確立できるよう願っている。(行政院農業委員会農糧署提供、中央社)
ラン科バニラ属の植物、バニラ(バニラ・ビーンズ)は香料バニラの材料で、サフランに次いで世界で二番目に高価な香料。台湾では2007年に行政院農業委員会(日本の農水省に相当)桃園区農業改良場(台湾北部・桃園市)が導入して栽培が始まり、航空会社を定年退職して栽培技術の移転を受けた劉永城さんが南部の屏東県で栽培に成功した。劉さんは今では台湾最大の栽培面積を誇るバニラ栽培農家になっている。
 
台湾はバニラ材料のほとんどを輸入に頼っていたが、桃園区農業改良場が2007年に導入後、メキシコのバーボンタイプのものが台湾での栽培に最も適していることを突き止めた。
 
現在56歳の劉永城さんは元々航空会社で倉庫管理の責任者を務めていたが、数年前に桃園区農業改良場を見学した際にバニラに触れた。するとバニラに触った手は一日中バニラの芳香を放ち、劉さんはそれに魅了されたという。このため劉さんは8万台湾元(約30万日本円)で同農業改良場から50株を購入。植えてみると興味はいっそう深まり、コツもつかめたことで、5年前に航空会社を定年退職してから同農業改良場の技術移転を受け、屏東県高樹郷で本格的な栽培を始めた。劉さんは500万台湾元(約1,850 万日本円)を投じてバニラをハウス栽培。合計約6,800平方メートルで5,000株近いバニラを育てている。
 
バニラは北回帰線と南回帰線の中間で栽培するのに適し、海外ではマダガスカルが主要な産地だという。劉さんによると、かつて桃園区農業改良場で植えられているバニラを見学したフランスのコンサルタント会社は、香りの質で海外のものに勝るとも劣らないと絶賛した。劉さんは、屏東県で育てるバニラは桃園市など北部のものよりさらに品質が良いとして、この新たな作物に大きなビジネスチャンスを感じている。
 
バニラは苗を植えてから加工ができるようになるまで約4年間かかるとされ、時間が必要な一方で経済価値は高い。今では劉さんは栽培から加工までの技術を完全にマスターし、行政院農業委員会の高雄区農業改良場(台湾南部・高雄市)と台東区農業改良場(同南東部・台東県)に苗を提供するまでになった。劉さんは、より多くの農家がバニラ栽培に加わって協力し合うことで、バニラを台湾の産業として確立できるよう希望している。劉さんは、そうしてこそ世界と競えるようになる他、栽培する人が多ければ多いほど技術交流が盛んになり、より画期的な栽培技術が生まれるはずだと期待している。
 

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