2024/05/05

Taiwan Today

経済

台湾の銀行、「新南向」与信額が8,700億台湾元を突破

2018/04/12
金融監督管理委員会によるサポートの下、台湾の銀行の「新南向政策」対象国に向けた与信額が8,700億台湾元を超えるなど、同政策に呼応した動きが効果を見せつつある。写真は「新南向政策」対象国。(外交部サイトより)
台湾の金融持ち株会社、国泰金融ホールディングス(Cathay Financial Holdings Co., Ltd.)は11日、カナダのスコシア銀行(Bank of Nova Scotia)がマレーシアに持つ現地法人の買収を断念したことを発表した。マレーシアは中華民国政府が推進する「新南向政策」の対象国であることから、この買収断念は重く受け止められている。「新南向政策」とは、中華民国(台湾)が東南アジア、南アジア、ニュージーランド、オーストラリアの計18カ国との幅広い関係強化を目指す政策。
 
買収断念の知らせに対し、金融監督管理委員会(日本の省レベルに相当)は、台湾の金融機関が「新南向政策」対象国に進出することは依然として有望だとし、今年に入ってからすでに2つの銀行の新たな拠点設置を許可している他、台湾の銀行の「新南向政策」対象国に向けた与信額も8,700億台湾元(約3兆1,498億日本円)を超えたと説明した。
 
総合的な「新南向政策」に合わせて様々な資金ルートを備えた金融支援を提供するため、金融監督管理委員会は複数の措置を推進し、企業が業務拡大に必要な資金を得られるよう協力している。これらの措置は例えば、中国輸出入銀行が融資と保証、保険を拡大すると共に、同銀行の「システム、プラントとエンジニアリング産業輸出共同融資プラットフォーム」に各銀行が加わるよう奨励していること。また、台湾の企業、並びに「新南向政策」対象国における台湾系企業に対する台湾の銀行による与信拡大の奨励。そして、海外で展開する台湾系企業が台湾で上場、もしくは株式公開し、台湾の資本市場で資金調達するよう指導することなど。
 
金融監督管理委員会はまた、金融監督管理の面における海外との協力関係継続、金融業の海外におけるデータの充実、規制緩和、国際的な金融の人材育成などの措置を通じて、台湾の銀行の海外拠点増設も支援している。
 
「新南向政策」に台湾の銀行が呼応する動きも効果を見せ始めている。金融監督管理委員会の統計によれば、2018年2月末の時点で、共同融資プラットフォームが融資を行ったケースは131件、融資と保証金額は82億5,300万台湾元(約298億8,000万日本円)。そのうち「新南向政策」対象国のものは81件、融資と保証金額は56億台湾元(約202億7,500万日本円)に及ぶ。
 
金融監督管理委員会は今年の与信残高増加分として421億4,100万台湾元(約1,525億7,400万日本円)を目標としているが、「新南向政策」対象国への信用供与が広がっていることで、与信残高は2月末の時点ですでに280億7,700万台湾元(約1,016億5,400万日本円)増え、年間目標の66.63%を達成している。なお、与信残高は8,708億9,800万台湾元(約3兆1,531億日本円)に達した。
 
金融監督管理委員会はまた、今年に入ってから台中商業銀行(Taichung Commercial Bank Co., Ltd.)によるマレーシア・ラブアンでの支店設置と、合作金庫商業銀行(Taiwan Cooperative Bank Co., Ltd.)がカンボジア・プノンペン支店の下に2つの営業所を設けることを許可した。
 
一方で、今年2月末の時点で台湾の株式市場に上場、「上櫃(グレタイ市場上場)」、「興櫃(エマージング登録)」している外国企業はそれぞれ70社、34社、8社。そのうち「新南向政策」対象国を主な営業地点としている企業はそれぞれ7社、13社、1社となっている。
 
 

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