台湾出身で日本を拠点に活動する王震緒(ペンネームは東山彰良)さんが25日、新作『罪の終わり』で「第11回中央公論文芸賞」を受賞した。昨年小説『流』で日本における文壇の登竜門とされる直木賞を受賞したのに続く快挙。
「第11回中央公論文芸賞(中央公論新社主催)」は25日に選考会を開いた。その結果、王震緒さん(47歳)の作品『罪の終わり』が受賞作に決定した。
受賞作は22世紀の米国が舞台。小惑星の接近による異常気象で食糧不足が深刻化し、社会のタブーをおかす行為が横行する中、罪を浄化する救世主として神格化されていく男の人生を描いたもの。
中央公論文芸賞選考会委員会は、「『罪の終わり』はすさまじいテーマを扱いながら詩情豊かな作品。翻訳調の文体を使用しているものの、それが嫌みになっていない。小説でなければ描ききれない物語だ」と評価している。
ペンネーム「東山彰良」で知られる王震緒さんは台湾生まれで、両親ともに台湾出身者。私立西南学院大学経済学部経済学科(日本・福岡県)を経て、西南学院大学大学院経済学研究科修士課程を修了。現在は福岡県小郡市に住む。昨年、長編小説「流」で直木賞を受賞した。