2024/05/06

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国立中興大学、植菌でコピ・ルアク風味のコーヒー豆

2016/11/30
国立中興大学(台湾中部・台中市)の楊秋忠教授(左)と名門易理国際公司は、8年の歳月をかけて、コピ・ルアク(ジャコウネコの排泄物から採取される未消化のコーヒー豆)から取り出したプロバイオティクス(善玉菌)を植菌、発酵させることに成功した。これにより、ジャコウネコの排泄物を採取しなくても、コピ・ルアクと同等の風味を持つコーヒー豆を人為的に作り出すことができる。(中央社)

国立中興大学(台湾中部・台中市)の楊秋忠教授と名門易理国際公司は、8年の歳月をかけて、コピ・ルアク(ジャコウネコの排泄物から採取される未消化のコーヒー豆)から取り出したプロバイオティクス(善玉菌)を植菌、発酵させることに成功した。これにより、ジャコウネコの排泄物を採取しなくても、コピ・ルアクと同等の風味を持つコーヒー豆を人為的に作り出すことができる。

楊秋忠教授は、台湾の最高学術研究機関である中央研究院の院士であり、国立中興大学土壌環境学科の「国家終身講座教授」とう肩書を持つ。名門易理国際股份有限公司と協力し、8年の歳月をかけて人為的に発酵させたコーヒー豆「神奇猫麝香猫咖啡(マジック・キャット・ジャコウネココーヒー)」を開発した。

コピ・ルアクは、野生あるいは養殖したジャコウネコの排泄物を採取して、その中から未消化のコーヒー豆を取り出す必要がある。しかし、これは人道的なやり方ではないし、細菌感染のリスクもある。特に、人工的に養殖したジャコウネコは、個体数を増やすために過度に密集した状態で飼育されており、集団感染のリスクがより高くなっている。

名門易理国際公司の楊登嵙執行長はこれまでインドネシアやベトナムに何度も足を運び、ジャコウネコの排泄物から採取した未消化のコーヒー豆を集めてきた。楊秋忠教授は実験室で、これらのコーヒー豆からバイオプロティクスを採取、純化、培養し、DNA鑑定を経て、増殖に成功した。楊登嵙執行長と楊秋忠教授の2人は、採取したバイオプロティクスを植菌、発酵し、ジャコウネコの体内における消化・発酵と同じ状況を再現するための研究を行った。プロバイオティクスの比重や発酵時間を変えて実験を行い、これにコーヒー豆の焙煎技術を使って、栗、アーモンド、ヘーゼルナッツなど10種類の自然の香りを発生させた。

国立中興大学によると、「神奇猫麝香猫咖啡」はすでに米国、中国大陸、台湾を含む複数の国や地域で特許を申請しており、同時に世界最大の検査・認証機関であるSGS(スイス)に検査を依頼し、残留農薬及びオクラトキシン(ochratoxin)が皆無であることを証明している。現在、台湾中部の台中市東勢区、南投県国姓郷、台湾中南部の雲林県古坑郷、台湾南部の屏東県大武山などで栽培されている高品質のコーヒー豆を使って、人為的にコピ・ルアク風味の「神奇猫麝香猫咖啡」を生産することに成功しており、台湾の農業に新たな道を切り開いている。

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