2024/05/05

Taiwan Today

経済

ドイツの調理器具大手、台湾のスーパーのキャンペーンで特需

2017/01/18
台湾の大手スーパーマーケット、全聯福利中心(PXMart)は昨年、ポイントシールを集めると、ドイツの調理器具大手であるWMF(ヴェーエムエフ)の圧力鍋などが安価で購入できるキャンペーンを実施した。しかし、予想を上回る反響があり、商品の引き渡しが停滞している。写真は16日に著書『走一條利他的路』を発表した全聯の徐重仁総裁。(中央社)
台湾の大手スーパーマーケット、全聯福利中心(PXMart)は2016年8月12日から12月29日まで、ポイントシールを集めると、ドイツの調理器具大手であるWMF(ヴェーエムエフ)の圧力鍋などが安価で購入できるキャンペーンを実施した。
 
全聯では当初、このキャンペーンのために圧力鍋2万個を用意していた。しかし、予想以上に反響が大きく、その10倍を超える22万個の購入申込みがあった。WMFの工場長がこのほど、台湾の消費者に対して、「台湾の消費者から購入の申込みがあった圧力鍋は、WMFが世界各地に持つ工場の年間生産能力を上回るほどだった」と感謝のビデオメッセージを寄せる事態となっている。WMFではドイツ工場の生産ラインのシフトを増やし、なるべく早くに台湾の消費者に圧力鍋を届けられるようにしたいと説明している。全聯によると、WMFでは商品の出荷に力を入れているが、次回の出荷は3月になる予定で、購入を申し込んだ消費者は、3月から7月にかけて順次商品を受け取ることができる見通し。
 
「台湾流通業の父」と呼ばれ、コンビニエンスストア最大手セブンイレブンの発展を支えた徐重仁氏は、3年前(2014年1月)に全聯の総裁に就任し、その経営を手掛けることになった。その後、全聯は大きく変化を遂げ、そのマーケティング手法がたびたび注目されるようになった。2016年は営業額が1,000億台湾元(約3,600億日本円)を超え、過去最高を更新した。
 
徐総裁は16日、著書『走一條利他的路』を発表した。これは徐総裁が、この3年間をかけて、50回を超える講演の内容をまとめたもの。出版社によると、徐総裁が40数年にわたる経営の心得や、読書の経験を整理し、日本や台湾の企業、あるいは地方の例を挙げて、管理者や創業者が逆境から脱却し、再起を図ろうとするのであれば、高い情報管理能力と新たなことに挑戦する能力を備え、どうすれば社会と共存し、互いに利益を得られるかという知恵を持つ必要があると説いている。
 
徐総裁はこの本の「まえがき」で、会社の存在目的やビジョンが単なる金儲けであって、従業員のケアや顧客サービス、社会優先など、他者の利益を優先する考えが欠けていれば、そのような会社は存在する価値を持たず、経営を持続させるのは難しいと指摘している。徐総裁はその例として、全聯が参加する「老鷹紅豆(タカを保護するため、鳥害対策用の農薬を散布しないで農作物を栽培する運動)」は、単なる慈善事業ではなく、ビジネス方面から見ても成功したマーケティング方法であり、消費者の購買意欲を刺激していると説明している。
 

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