2024/05/03

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経済

台湾出身のアーティスト、最新作が英病院に展示される

2017/01/24
台湾出身でイギリス在住のアーティスト、蔡筱淇さんとその夫で日本人の吉川公野さんが創作したインスタレーション「水中花」が、英ロンドンのセント・トーマス病院に半永久的に展示されることが決まった。同病院がアジア出身のアーティストに、インスタレーションの設置を依頼するのは初めてのこと。(中央社)
台湾出身でイギリス在住のアーティスト、蔡筱淇さんとその夫で日本人の吉川公野さんが創作したパブリックアートの最新作品「水中花」が、公開コンペの結果、ロンドンにあるセント・トーマス病院に半永久的に展示されることが決まった。その独特のデザインが、病院及び患者の両方から高い評価を得たため。
 
セント・トーマス病院は、ウェストミンスター宮殿(英国国会議事堂)やビッグ・ベンとテムズ川を挟んで対岸にある、ロンドンでは有名な病院。病院を経営するGuy’s and St Thomas’ NHS Foundation Trustは2013年、病院の東側に新設する窓ガラスが並ぶ、高さ42メートルの壁に囲まれた三角形の空間に設置する、2つのインスタレーションを募集する公開コンペを開催した。蔡さんと吉川さんの企画は最終ラウンドの4作品に残り、最後に行われた一般投票で50%以上の圧倒的多数を獲得した。
 
蔡さんと吉川さんによると、二人がある日、病院付近の水族館を参観した際、コウキクサ(浮遊性の水草の一種)や水草が水面にゆらゆらと浮かんでいる様子を見て、とてもリラックスした気分になったという。こうして二人は、窓ガラスが並ぶ高さ42メートルの壁で囲まれた中庭を、巨大な2つの水槽に見立てた作品を考え出した。順番や治療を待つ患者や家族たちは深い水底にいるつもりになって、水面に浮かぶ花のような作品が、窓の外から流れ込む自然の気流によってゆっくりと動く様子を、リラックスした気分で見上げて欲しいという願いを込めた。
 
蔡さんと吉川さんはいずれも英ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業後、この10年余り、創作活動に取り組んできた。代表作品は、ロンドンのチャイナタウンに設置されている「The Lion(舞獅)」などのパブリックアート。今回はセント・トーマス病院がパブリックアートの設置を依頼する、初のアジア出身のアーティストとなった。
 
「水中花」と名付けられたこの作品は、アルミ板、防火プラスチック、ワイヤーなどの素材で作られたもの。Guy’s and St Thomas’ NHS Foundation Trustでアートデザイン計画を担当するLiz O’Sullivanさんによると、蔡さんと吉川さんの作品が設置されている場所は、集中治療室や重症患者が入院するエリア。医師や看護師らは、どの階層からも作品を眺めることができるため、作業の合間に窓の外を眺めて作品を眺めるだけで、しばし仕事のストレスから解放される。また、患者の家族たちにとってもこの作品をじっと見つめることで、憂鬱な気分から解き放され、リラックスできるという素晴らしい効果があるという。
 
作品「水中花」を設置するとき妊娠していた蔡さんは、作品完成後、セント・トーマス病院で女児を出産した。「だから、この作品は娘の作品とも言えるんです」と蔡さんは話す。
 

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