中華民国(台湾)の経済部、工業技術研究院、米インテル社が各500万米ドルを出資し、次世代メモリーを開発、新技術を台湾の企業に移転して台湾のDRAMを大幅に進化させる。
インテルの最高技術責任者、ジャスティン・ラトナー氏は6日、経済部、工業技術研究院と共に合作計画を発表、向こう5年間に500万米ドルに相当する資金とリソースを提供して、台湾の技術向上に協力すると明らかにした。開発の最優先項目は省エネルギーかつ高速の「次世代メモリー」で、超薄型ノートパソコンの「ウルトラブック」やタブレット型コンピューター、スマートフォンなどのデバイス、クラウドコンピューティングでのデータセンターへの応用を目指す。
ラトナー氏は、インテルの関心はもはや容量の拡大ではなく、今では、いかにしてCPUとメモリーを積層してより緊密に結びつけるか、データへのアクセスを速めるか、電力消費を抑えるかだと説明し、台湾との合作に期待を示した。
この合作案は1年あまりの交渉を経てまとまったもの。工業技術研究院によると、インテルが多くの特許を保有しているのに対し、同研究院は「3-D IC」技術で優れた基礎を持っており、合作は相互補完の関係となり、ハードのサイズを効果的に縮め、個人用電子機器のさらなる小型化と薄型化という要求に応じることが可能になるという。
工業技術研究院とインテルの合作は技術の共同開発。インテルが工業技術研究院との合作を決めたのは、台湾に完全な形の半導体産業チェーンが存在するため。工業技術研究院では、5年間の合作期間中、最初の2年間でメーカーも開発に参与できるようにし、出来る限り早い商業化と量産を実現するとしている。また、工業技術研究院はメモリーに関する特許権を保有し、台湾の企業へ技術移転する場合もインテルに権利金を支払う必要は無い。
また、インテルではインテル・ラボの副総裁である王文漢氏を、インテル-台湾大学コネクテッド・コンテクスト・コンピューティングセンターでの客員科学者に任命、同センターと台湾の産業界との合作チャンスを探る作業に協力すると発表した。インテルは行政院国家科学委員会とも、「イノベーション&リサーチ・フォーラム」を共同開催し、クラウドコンピューティングや組み込み式演算などの領域で、最新技術の発展状況を共有する。