友華生技医薬(オリエント・ユーロファーマ)は7日、抗がん剤注射薬工場の設置について、がん領域専門の日本のバイオベンチャー、ナノキャリアと契約を交わした。両社が共同で中部サイエンスパーク虎尾園区(雲林県)に建設する工場は投資総額7億台湾元(約19億2,000万日本円)で、2013年着工、2016年操業開始を予定している。
ナノキャリアの中冨一郎社長は、「台湾では政府がバイオ新薬分野を重要産業として支え、経済部工業局が業界に必要なサポートと支援を提供している。行政院衛生署食品薬物管理局も、治療薬のない疾病や難病、がんといった病気の治療薬に対し、迅速な審査体制と優先的な認可メカニズムを整備するとしている。こういった措置は、台湾での新薬の研究開発(R&D)の成否を左右する」と指摘した。
友華グループは、ナノキャリアと2008年から協力関係にあり、膵臓(すいぞう)がん治療の新薬「NC-6004ナノプラチン®」の第1相臨床試験および第2相臨床試験に取り組んでいる。今回の契約後には、第3相臨床試験に入る計画となっている。
ナノキャリアはがん領域に特化した新薬のR&D事業を行う日本の上場企業で、世界で始めて薬物送達システム(DDS)を利用して、抗がん剤を手掛ける企業となった。今回の提携で、友華グループは、ナノプラチンの製造ライセンスを取得し、契約に基づき世界市場に供給する計画だ。