2024/05/02

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アカヒアリのコロニー形態を左右する遺伝子群、中研院が特定

2013/02/20
中央研究院は、アカヒアリのコロニーによる行動の差異を決定するとき、鍵となる役割を果たす「社会性染色体」の特定に成功した。研究成果はアカヒアリの駆除に役立つと期待されている。(中央社)

アカヒアリ(学名・Solenopsis invicta)は、女王アリが1匹だけの「単独女王コロニー」と、多数の女王アリが存在する「多数女王コロニー」の、2形態のコロニーで生活している。これまでの研究では、この大きな違いが何によってコントロールされているのか、メカニズムがはっきりしていなかった。中央研究院(中研院)生物多様性研究センターはこのほど、コロニーによる行動の差異を決定するとき、鍵となる役割を果たす「社会性染色体」の特定に成功した。研究成果はアカヒアリの駆除に役立つと期待されている。海外との共同研究によるこの論文は、1月17日発行の英科学誌「ネイチャー(Nature)」に掲載された。

アカヒアリは侵略性の高い昆虫で、かまれると火に焼かれたように熱く感じ、のちに白い水疱状となり、致命傷となる場合もある。世界でアカヒアリ駆除に投じられる経費は年間50億米ドル超。中研院は米国、英国、スイスの研究者と共同で、アカヒアリが「単独女王コロニー」と「多数女王コロニー」というまったく違った2形態のコロニーで生活するのは、約600個が連なる「超遺伝子」と呼ばれる遺伝子群がコントロールしているからであることを発見した。この超遺伝子が存在する染色体「社会性染色体」には2種類あり、この染色体がコロニーの形態を決定する。さらに、2形態のコロニーは互いに相手方コロニーの女王アリを殺そうとする習性があるという。

中研院によると、超遺伝子のうち、2~3個の遺伝子設計をエサに組み入れ、女王アリに食べさせることで、「単独女王コロニー」の女王アリの匂いが、「多数女王コロニー」の女王アリの匂いに近付くといった変化がもしあれば、働きアリが混乱して自身の女王アリを殺そうとすることも考えられ、これによりコロニー全体を崩壊させることができる可能性がある。論文は「ネイチャー」誌ウェブサイトで全文公開されている。(http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature11832.html)

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