台湾の科学者、李連忠博士(元中央研究院研究員)が率いる多国籍の研究チームはこのほど、二硫化モリブデン(MoS2)単層と二セレン化タングステン(WSe2)単層で完全なpn接合を得ることに成功した。この成果は半導体部品製造工程のボトルネックとなる問題の解決につながることが期待され、将来的には極度に微細化された電子部品への応用も見込まれる。研究結果は世界最先端の学術誌「サイエンス」誌の最新号で発表される。
この研究論文の第一著者である李明洋博士によると、一般には、トランジスタやダイオードのような電子部品や光電部品はすべて、三次元的(立体的)なpn接合を持つ。これはすでに、発光ダイオード(LED)照明や電子・家電製品など広く日常生活に応用されている。ただ、さらに低い次元では、単原子層物質の完全なpn接合はいまだ得られていない。
この研究は、いかに二次元接面の成長を効果的にコントロールするかについて初めてレポートし、また極軽量、薄く透明という特徴を活かし、将来的にはより省エネの電子やウェアラブル電子部品に応用できるという高い潜在力が見込まれている。