2024/05/05

Taiwan Today

経済

台北市の戦前の戸籍簿、「湾生」日本人のルーツ探しに一役

2015/10/26
85歳の「湾生」、家倉多恵子さん(手前右)は、台湾でルーツをたどり、台北市大安区戸政事務所で出生時の戸籍謄本を閲覧することができた。(台北市大安区戸政事務所提供、聯合報)

台湾北部、台北市政府民政局では、日本占領時代の戸籍簿5,800冊余りをいまも保管し、その数は全国一となっている。この100年以上の歴史ある戸籍簿をみると、アヘン吸引の習慣や纏足(てんそく)の有無、跡取りの嫁として子どものときに出された養女など、現在にはない詳細な記載が確認できる。これらは貴重な史料として、「湾生」と呼ばれる1895年から1946年に台湾で生まれた日本人や、戦後に中国大陸から国民政府とともに台湾に渡ってきた人々の、中国大陸にいる親族がそのルーツをたどる際に最初に確認するのものとなっている。

85歳の「湾生」、家倉多恵子さんは、この「湾生」たちの台湾への里帰りを追ったドキュメンタリー映画『湾生回家(湾生の帰郷)』の制作チームとともに台湾でルーツをたどった。すると、台北市大安区戸政事務所が家倉さんの家族の戸籍謄本を探し出すのに協力し、家倉さんは原本を閲覧することができた。両親の名前が毛筆で記されているのを見た家倉さんは、涙ぐみながら事務所の職員に対し、ついに出生時の戸籍謄本の写しが手に入り、人生で抜け落ちた部分を埋めることができたと感謝し、天国の父親に「お父さん、台湾に帰ってきました」と語った。

同市民政局の洪進達科長によると、戸籍データは1997年に全面電子化されたが、これらの貴重な史料は永久保存扱いとしており、51万世帯以上の戸籍史料が同局および各区公所(区役所)に保管されている。自身のルーツや音信不通になって久しい親族を探す場合、身分証明書を持って、いずれの区の戸政事務所でも日本占領時代の直系親族の戸籍簿スキャンデータの閲覧が申請でき、毛筆で記された内容から、先人の暮らしの様子をうかがうことができる。

ランキング

新着