2024/05/06

Taiwan Today

文化・社会

濃厚な台湾テイスト、『小猫巴克里』が金馬奨最優秀動画賞にノミネート

2017/11/23
中国語映画のアカデミー賞とされるゴールデンホース・アワードは今年で54回目。今年は12年ぶりに、台湾で制作された長編アニメが最優秀長編アニメ賞にノミネートされている。「BARKLEY」(右)がいるのは台南市の街角か。(台南市サイトより)
中国語映画のアカデミー賞とされるゴールデンホース・アワード(金馬奨=賞)は今年で54回目。今年は12年ぶりに、台湾で制作された長編アニメが最優秀長編アニメ賞にノミネートされている。ノミネートされた『小猫巴克里(BARKLEY)』は、邱立偉監督が完成までに3年費やした初の長編作品で、邱監督は「BARKLEY」が台湾で知的財産権を伴う代表的なアニメキャラクターに成長するよう願っている。
 
大学でまずビジュアルコミュニケーションを学んだ邱立偉監督は、その後、国立台南芸術大学(台湾南部・台南市)の大学院(動画芸術及び映像美学科)で修士号、さらには中国大陸の北京電影学院で監督学の博士号を取得した。アニメの世界に身を投じて25年あまりとなる、台湾の動画界で中堅的世代のリーダーである。
 
『小猫巴克里』は元来、邱監督が大学生の時に描いた絵本作品だった。映画化する前、邱監督はまずテレビアニメのシリーズにして放送、視聴者の反応を観察し、好みを分析した上で、長編アニメの劇場作品の制作に取りかかった。テレビ版の『小猫巴克里』は、放送された同時間帯で視聴率トップとなった他、「台湾のエミー賞」とされるゴールデンベル・アワード(金鐘奨=賞)で最優秀アニメ番組賞を受賞。放送権の販売に成功した国は33カ国に上る。これらの好成績も、邱監督を劇場作品の制作に踏み切らせた。
 
台南で生まれ育った邱監督は、『小猫巴克里』の中で台南の街角を生き生きと描写。台湾の人たちがよく知っている伝統的な建物、B級グルメの文化、台湾式の看板、さらには町に張り巡らされた電線など、台湾を地元とした濃厚な特色がキャラクターの活躍する世界観となっている。こうした風景はすなわち、邱立偉監督が最も馴染みのある故郷の姿なのである。
 
ストーリーとその土地との結び付きに対する意識の他、邱監督は、台湾には台湾独自のアニメキャラクターが必要だと考えている。このため邱監督は、「BARKLEY」が1本のアニメ映画にとどまらず、IP(知的財産権)を伴う重要なキャラクターに成長し、ずっと生き続けていくよう願っている。
 
『小猫巴克里』では人と動物が交流し、愛と勇気の不思議な冒険が次々と展開される。台湾の風土や習慣が示されるものの、テーマはあくまで勇気と感動などで、世界中で共感を呼べるストーリーとなっている。
 
『小猫巴克里』はすでに海外で24の映画祭にノミネートされ、長編アニメの賞を7つ獲得。オランダ・アムステルダムでの映画祭では最優秀アニメ賞を受賞しており、ゴールデンホース・アワードでも最優秀長編アニメ賞を狙う。しかし、邱立偉監督が最も気にしているのは、『小猫巴克里』が観客を楽しませ、観客に寄り添い、深い印象を残せるかどうか。邱監督は、「ずっとやりたかったのはそうしたアニメを作ることだ。(受賞できるかどうかより)その方がもっと重要だ」と話している。

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