2024/05/06

Taiwan Today

文化・社会

海洋文学で日本に進出、シャマン・ラポガンさん「無上の名誉」

2018/01/22
シャマン・ラポガンさん(左)は蘭嶼のヤミ(タオ)族の海洋文学作家。昨年11月に『大海浮夢』日本語版が日本で出版された。20日には東京の台湾文化センターで講演会に出席した。(中央社)
台湾の海洋文学作家、シャマン・ラポガン(夏曼・藍波安)さんは台湾本島の南東に浮かぶ離島、蘭嶼の出身で、海の探求を愛するヤミ(タオ)族の海洋文学作家。ヤミ族は台湾の先住民族のうち、唯一、漁を基礎とした文化を持つ。彼の作品、『大海浮夢』が日本の天理大学教授、下村作次郎さんによって日本語訳され、昨年11月に日本で出版された。タイトルは『大海に生きる夢-大海浮夢』。シャマン・ラポガンさんは20日、日本の東京にある台湾文化センターで行われた『大海に生きる夢』文学講演会に出席した。
 
今回の日本語版出版についてシャマン・ラポガンさんは、海洋文学作家として、あるいは世界の「島」の作家として、「こうした海洋文学は基本的に自分たち民族の海洋文学であり、日常生活の海洋文学だ」と説明。その上で、自分たちが大きな海に向き合っていると同時に、伝統に対する侵略や妨害にもさらされていることで、伝統性はますます弱まり、伝統的な漁も減る一方だと指摘した。シャマン・ラポガンさんはただ、これらは外的な動向にすぎず、自分にとってはヤミ族の全体的な思想がすなわち小説やエッセイになると解説した。そして、今回、日本語に訳されたことについては、「自分たちの民族、自分自身、そして家族にとって無上の名誉だ」と喜んだ。
 
シャマン・ラポガンさんは、書物の良し悪しは今、好成績が得られるかどうかではなく、異なる世代、異なる時代の子どもたちに読んでもらうことこそ重要であると主張。かつて台湾の文学界に対して公の場で、「あなた方は『主流』の作家だろうが、私は『海流』の作家だ」と言ったことがあるとし、台北は自分の文学の中心でも主流でもなく、島こそが自分にとっての「世界文学」の主流なのだと強調した。
 
また、シャマン・ラポガンさんは米国の作家、ヘミングウェイについて、ヘミングウェイの海は静態で自分の心の中にある海とはやや異なると指摘すると共に、ヘミングウェイの描く漁師は蘭嶼の人たちから言えば「低レベル」で、蘭嶼には83日間費やさなければ一匹の魚も釣れないような漁師はいないと話した。その上で、ヘミングウェイが間違っていたのではなく、ヘミングウェイと自分では知っている海が違うだけだとして、「ヘミングウェイは世界の海洋文学作家、自分は蘭嶼という小さな島の海洋文学作家だ」と強調した。
 
 

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