2024/05/19

Taiwan Today

文化・社会

台湾漫画のIPに夜明けの輝き②-IP育成の場、「CCC創作集」が復刊

2018/02/13
休刊していた「CCC創作集」は台湾の漫画家が実力を培うプラットフォーム。このほど復刊し、漫画を中心とした異業種提携の可能性につながるものとして期待されている。写真は台北国際ブックフェアでの展示。(写真:CNA)
2009年に創刊された「CCC創作集(Creative Comic Collection=オリジナル作品集)」は台湾のデジタル史料リソースを利用してオリジナル漫画とした先例。季刊の形式で台湾の歴史や文化、自然環境などを題材に、「漫画文化誌」をセールスポイントとして多くの読者を育てることに成功した。同時に台湾の新鋭漫画家を数多く発掘し、良質なストーリーも生み出した。台湾の漫画家が実力を培うプラットフォームだったと言える。
 
しかし、「CCC創作集」は2015年に第20号を発行すると経費の問題から休刊。昨年文化部(日本の省レベルに相当)が資金を投じたことで、ようやく12月末に復刊号の「試刊」が出版され、発行の再開が宣言された。そして2018年2月9日、復刊第1号の「復刊号」が正式に発売された。今後は月刊誌となる。
 
台湾の最高学術研究機関、中央研究院のデジタル文化センターにおけるプロジェクトマネージャーで、「CCC創作集」プロジェクトの責任者でもある黄冠華さんはこのほど、台北国際ブックフェアで復刊後の「CCC創作集」の変化について語った。黄さんによれば、以前は短編の枠組みで作品を描くしかなかったが、月刊誌となったことで連載形式が可能となり、漫画家たちがより長大なストーリーを考えられるようになった。また、新たな「CCC創作集」では、漫画文化や漫画産業の面からもシリーズ化された報道を行っていくという。
 
以前の「CCC創作集」はデジタルアーカイブス・プロジェクトにある題材を重視し、文面の存在する歴史を基に物語を生み出してきた。しかし、新たな「CCC創作集」では同プロジェクトにこだわらず、社会問題や風俗習慣などを題材にしたものや、時事を取り入れたドキュメンタリータッチのものも可能になることで、より幅広い面から台湾の「地元の物語」を紹介することが出来る。
 
このため復刊後は中央研究院内のより多くの研究部門と合作を行っている。「復刊号」では、中央研究院台湾史研究所の文化、文学、哲学の各分野の専門家の他、現代の問題にもかかわってくる中央研究院社会学研究所、及び台湾の生態系や生物に関係する自然分野の専門家らと協力して作品を創り上げた。黄さんは、全く新しくなった「CCC創作集」を通じて、読者たちが台湾という土地の物語に対する認識を深めてくれればと願っている。
 
中央研究院デジタル文化センターは今年の台北国際ブックフェアの会場に、「漫筆虚実PLUS」デジタル体験展を設置、「CCC創作集」の漫画と科学技術を結び付けたインタラクティブな展示を行った。展示は近代台湾史の四大時代を背景にしたもの。まず、AR(拡張現実)を利用したゲームで、大航海時代の『蘭人異聞録』。また、ARの体験区では清朝の茶文化を題材にした『異人茶跡』、日本占領時代の『北城百画帖』。そして第二次世界大戦前から戦後を舞台に、霹靂布袋戯と協力して制作した3Dプロジェクションマッピングの『龍泉侠大戦迷霧人』。いずれも漫画を中心とした異業種提携の可能性を探るものとなっている。布袋戯は台湾の伝統的な人形劇。また、霹靂布袋戯は大型の人形で、テレビや映画向けにエンターテインメント化した布袋戯のこと。
 
 

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