2024/05/15

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文化・社会

バイオ医療の科学者、王正琪さんがJLABSの「傑出した女性リーダー」に

2018/03/08
ジョンソン&ジョンソン傘下で、最先端のバイオ医療育成をサポートするJLABSは8日の国際女性デーに合わせ、台湾出身の王正琪博士(写真)を「傑出した女性リーダー」に選出した。(仁新医薬株式会社提供、中央社)
ユネスコ(国連教育科学文化機関)の統計によると、世界の科学者に女性が占める割合は30%未満。また、中華民国政府の科技部(日本の省レベルに相当)が台湾で研究を専門に行っている人員を対象に実施した調査でも、男女の比率は67:33だった。さらに科技部の行っている専門プロジェクトに対する申請者での男女の比率は76:24だった。
 
3月8日は国際女性デー。ジョンソン&ジョンソン・イノベーション(Johnson & Johnson Innovation)傘下で、最先端のバイオ医療育成をサポートするインキュベーション施設のJLABSは国際女性デーに合わせ、台湾の仁新医薬株式会社(Lin BioScience)の米国子会社で総経理(社長)兼研究開発処長を務める王正琪(Irene Wang)博士を「傑出した女性リーダー(Women Leadership)」に選出したと発表した。
 
JLABS加入には招待を受ける必要がある。現在参加している100あまりのチームのうち、台湾からのものは王正琪さん率いるチームのみ。王正琪さんは国立台湾大学(台湾北部・台北市)化学科で学び、同大学の化学学士とバイオテクノロジーの博士を取得。バイオ医療分野の共同発明者として特許を40件以上持っている。王さんは台湾で生まれ育ち、台湾で教育と臨床での研究開発訓練を受けている。これは台湾におけるバイオ医療産業においては大変珍しいケースだという。
 
王正琪さんは唯一台湾からJLABSに加わったチームを率い、米国の国立衛生研究所及びコロンビア大学と協力、「乾燥型」加齢黄斑変性症とシュタルガルト病(スタルガルト病とも言う)に対する内服薬の開発に力を入れている。加齢黄斑変性症は世界中で50歳以上の人が失明する主な原因であり、「乾燥型」と「滲出型」に分けられる。そのうち「乾燥型」は90%を占めるが、「乾燥型」加齢黄斑変性症の治療薬として認可された薬物は世界でまだ存在しない。
 
シュタルガルト病は遺伝性の疾患で、若者に多く発症する黄斑変性症。通常は子どもの時から徐々に視力が衰え、治療しなければ多くが20歳までに視力障害を起こす。失明することもある。シュタルガルト病は難病であり、米国では約3万人の児童が罹患しているが、まだ効果的な治療法は見つかっていない。
 
王正琪さんのチームは「乾燥型」黄斑変性症の内服薬の開発に取り組んでおり、今年は第一相試験(フェーズ1)の臨床試験を始められる予定。研究が成功すれば、まだ治療法の無い目の病気に苦しむ人たちに一筋の希望の光を与えられると期待されている。
 
 

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