2024/05/05

Taiwan Today

文化・社会

東京アニメアワード、台湾の長編アニメ『幸福路上』がグランプリ

2018/03/13
日本の国際アニメーション映画祭「東京アニメアワードフェスティバル」は12日、授賞式を開催した。長編コンペティション部門では、台湾の長編アニメ『幸福路上(オン ハピネス ロード)』がグランプリを獲得した。写真は宋欣頴監督。(伝影互動提供、中央社)
日本の国際アニメーション映画祭「東京アニメアワードフェスティバル2018(TAAF2018)」の長編コンペティション部門で、台湾の長編アニメ『幸福路上(オン ハピネス ロード/英題:On Happiness Road)』(2018年公開)がグランプリを獲得した。
 
長編アニメ『幸福路上』は2013年、12分間の短編アニメとして誕生。4年の歳月をかけて長編作品として生まれ変わった。素朴ながら味のあるタッチで1人の女性の成長を描いており、心温まるストーリーが見る人たちの涙を誘うと話題になった。中国語映画のアカデミー賞とされるゴールデンホース・アワード(金馬奨)で最優秀女優賞を受賞した実力派女優、林綸鎂(グイ・ルンメイ)さんが主人公・林淑琦の声を担当。台湾のトップアーティストである蔡依林(ジョリン・ツァイ)さんが主題歌を歌う。このほか、台湾映画『海角七号 君想う、国境の南』(2008年)などで知られる映画監督の魏徳聖(ウェイ・ダーション)さんも声優の一人として、このアニメにおけるキー・パーソンを演じている。
 
このアニメーションを手掛けたのは1974年生まれの宋欣頴監督。宋欣頴監督はかつて報道機関の取材に対し、「私の映画は、美しくもない、平凡な人物の力を描いたもの」、「台湾の人々は自分に自信がない。自分の文化を嫌っている。さらには、台湾は混乱していると言う人もいる。しかし、そんなことはない。私たちは誰もが幸福路(ハピネスロード)を歩いているのだ。しかし、多くの人々が、幸福というのは実は自分のすぐそばにいるということに気が付いていないのだ」と語ったことがある。
 
宋欣頴監督は、新聞記者やトレンディドラマの脚本家を経て、米国や日本に留学して映画を学んだ。アニメ『幸福路上』は、宋欣頴監督が映画界に飛び込んで初めて手掛けた長編作品だ。製作に5,000万台湾元(約1億8,000万日本円)を投じた。
 
『幸福路上』は2018年1月に台湾全土で公開された。実力派女優の林綸鎂さんやトップアーティストの蔡依林さんの人気だけでなく、映画界の同業者から高い推薦も受けるなど前評判は上々だった。しかし、ディズニー映画やピクサー映画に慣れた観客が多い台湾では、『幸福路上』の興行成績は始終振るわなかった。公開後の最初の1週間が過ぎると、上映回数は徐々に減り、高い評価に反して客足は伸び悩んだ。
 
今年の「東京アニメアワードフェスティバル」のコンペティション部門には、世界58カ国・地域から731作品がエントリーした。そのうち長編コンペティションには、台湾の『幸福路上』のほか、2017年ゴールデンホース・アワード(金馬奨)で最優秀長編アニメーション賞を受賞した中国大陸の『大世界(ハブ ア ナイス デイ/英題:Have A Nice Day)』など4作品がノミネートされていた。
 
12日に行われた授賞式では、米国アニメ『コウノトリ大作戦!』を手掛けたダグ・スウィートランド監督から宋欣頴監督にトロフィーが手渡された。宋欣頴監督は感極まった様子で、「すべての映画の、すべての関係者に心より感謝したい。アニメーション映画を制作することは本当に大変なことだったが、その努力がついに認められた」とコメントした。
 
ダグ・スウィートランド監督は、「『幸福路上』はアニメーションが持つ最大の可能性を発揮したもの。想像力に満ち溢れ、多くの時代を描き、人々に人生の意義について考えさせる作品だ」と絶賛した。
 
なお、日本のアニメ界を代表する宮崎駿監督、新海誠監督、細田守監督などは、いずれも「東京アニメアワード」での受賞経験を持つ。
 

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