2024/05/06

Taiwan Today

文化・社会

国父紀念館設計の建築家、王大閎氏が死去

2018/05/30
28日に死去した台湾の建築家、王大閎氏。王氏の設計した建築の中には、文化的な価値が非常に高く、政府や民間機関によって保存されているものもある。(国家文芸奨サイトより)
国父紀念館(台湾北部・台北市、中華民国の建国の父、孫文博士のメモリアルホール)を設計したことでも知られる台湾の建築家、王大閎氏が28日死去した。101歳だった。
 
文化部(日本の文科省に類似)の鄭麗君部長(大臣)が文化部のニュースリリースを通じて発表したところによると、王大閎氏は西洋建築の教育を受けた初代の華人(中華系の人)の建築家として知られている。王氏の思想や創作スタイルは東洋と西洋、伝統とモダン、田園と都市、ハンドメイドと機械製作、反省と超越といった相反するものであふれているため、「永遠の建築詩人」と呼ばれている。
 
文化部は近く、蔡英文総統に王大閎氏に対する褒揚令(国家に対して大きな貢献があった国民に贈られる表彰状)の授与を要請するという。
 
王大閎氏は1971年に中国大陸・北京で生まれ、上海と蘇州で育った。父は、著名な法学者の王寵恵氏。王大閎氏は13歳の時、父親の仕事の関係でオランダ・ハーグに移住、その後、英ケンブリッジ大学、米ハーバード大学で建築を学んだ。
 
1952年春に香港から台湾に移り住んだ王氏は、戦後で物資の乏しい時代に、建築を通して台湾の都市を美化することに貢献した。これは中華民国政府からも評価され、第13回国家文芸賞奨や第33回行政院文化賞を受賞した。
 
王氏が台湾に移住して初めての作品が自身のために1953年に建てた「建国南路の自宅」。現在は台北市立美術館(台湾北部・台北市)の南にある美術公園に再建され、公開されている。そのほか、王氏による有名な作品は、国立台湾大学の第一学生活動センター、学者の林語堂氏の旧居、国父記念館、外交部ビル(すべて台北市)など。王氏の設計した建築の中には、文化的な価値が非常に高く、政府や民間機関によって保存されているものもある。
 
文化部所属の国立台湾博物館(台北市)が進めている台湾の戦後建築物設計図や写真募集計画の中には、王氏の一部の作品が貴重なコレクションとして収められている。文化部と国立台湾博物館は、関連ファイルのデジタル化や研究を進め、特定テーマのイベント開催を計画し、市民に王氏の創作やその背景にある理念などをさらに深めてもらいたい考えだ。

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