行政院農業委員会林務局(日本の林野庁に相当)羅東林区管理処では地元・宜蘭県(台湾北東部)における林業の歴史を伝える写真や文書を1,000点以上収集し、「蘭陽林業デジタルデータベース」を作成している。「蘭陽」は宜蘭県の別名。同データベースでは太平山森林鉄路(鉄道)がヒノキを積んで蘭陽溪に架かる木橋を渡る姿、太平山の木造建築群、ヒノキの原生林なども見ることが出来るが、その多くの風景と物体は今は無く、写真を通してかつての姿を「弔う」ことしか出来ない。
羅東林区管理処は2018年に、「山中歳月・太平時光」と銘打って宜蘭県の林業に関する古い写真を募集、それにより見つかった写真や文書も「蘭陽林業デジタルデータベース」に加えられている。同年には「林場感:羅東林業生活影像展」も開催。訪れた人々は写真に映る当時の姿を味わい深く見つめていたという。
羅東林区管理処は12日、プレスリリースを発表し、宜蘭県の林業に関する写真など歴史資料の収集を継続すると明らかにした。対象となるのは羅東の営林場、羅東森林鉄路、太平山林区、大元山林区、製材業、当時の衣・食・住・交通・教育・娯楽に関する画像や文書。写真や文書はデジタルファイルに変換し、データベースに加えてから提供者に返却する。
太平山では日本統治時代の1915年に材木の生産を開始。森林鉄道を整備し、山で伐採したヒノキを運び出して地元に繁栄をもたらした。「蘭陽林業データベース」は将来、オンラインで公開する予定で、誰もがその貴重な林業の物語を体験出来るようになるという。