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「博愛・追悼・施し」の「鬼月」と「中元節」

2012/08/24
旧暦7月は「鬼月」。台湾では様々な伝統的な風習がある。お供え物で「あの世」から戻ってくる霊魂たちをもてなすことは欠かせない。(外交部サイトより)
台湾における民間の伝統的な観念では、旧暦7月(今年は8月17日から9月15日)は「鬼月」と呼ばれる重要な月である。人々はこの1ヶ月間、「あの世」に閉じ込められた霊魂が「この世」に戻ってくると信じている。「鬼」は中国語では幽霊や霊魂を指す。このため、「鬼月」の間、恐れと平安を願う気持ちから、各地の人々は僧侶や道士を呼んでお払いをしたり、自宅前にお供え物を並べて「好兄弟」(霊魂たち)と先祖の霊を祭り、これらの霊が「あの世」で衣食に困らず、子孫を守ってくれるよう願うのである。これらの儀式には、廟や寺の行う「公普」と、個人で行う「私普」の2種類があり、どちらの形式をとってもかまわない。 「鬼月」 台湾の民間信仰では旧暦7月は「鬼月」。旧暦7月1日(今年は8月17日)は「開鬼門」と呼ばれ、「鬼門」(あの世の門)が開く。旧暦7月30日(今年は9月15日)が「関鬼門」で門が閉まる。この間、無縁仏の霊魂は先を争うように「この世」を徘徊、おいしいものを探す。特に旧暦7月15日の「中元節」(今年は8月31日)は「鬼門」が大きく開かれる日とされ、「鬼」に遭わないよう外出はできるだけ避ける習慣がある。また、水辺に近づくと「水鬼」(水死した人の幽霊)に取って代わられる(水に引き込まれて死ぬ)とされ、特に禁物とされている。 「開鬼門」 旧暦7月1日の早朝、「鬼門」が開かれ、「あの世」で苦しむ霊魂は「この世」に戻り、子孫と集って楽しく食事が出来るようになるとされている。しかし、無縁仏の霊魂は戻る家が無く、徘徊することになる。人々はこれら霊魂に煩わされるのを恐れ、無縁仏の霊魂のために、「五牲」(豚、鶏、アヒル、魚、タマゴなど(現代ではスルメいかなどで代用も)の供え物を用意する。「鬼門」が開くと、一般の住宅では玄関に多くの食べ物を並べ、料理には皿ごとに線香を1本立てる。そして、あの世で使うお金を象徴する「紙銭」を燃やす。 「中元節」 「中元節」は人と霊魂に深くかかわる節句。この日、台湾では家々で多くの料理を用意して先祖と無縁仏の霊魂に振舞う。また、各地で、様々な「普度」(あまねく済度すること)の伝統的な行事が行われる。台湾北部の港湾都市、基隆市の有名な「中元祭」は「公普」に属する。 「関鬼門」 「鬼門」を閉める「関鬼門」は旧暦7月の最後の日、もしくは8月初めに儀式が行われる。道士が「七星剣」を手に祈りの言葉を唱えて、街をさまよう無縁仏の霊魂たちに、「あの世」に戻るよう促す。 旧暦7月と「中元節」は、祭る人のいない無縁仏の霊魂たちを毎年「中元節」にまとめて慰めようという慈悲の心情から始まった、人情味あふれる風習である。この節句には「博愛」と「追悼」、「施し」の気持ちが満ちているのである。

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