2024/05/03

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台湾産コーヒー、そしてその独特のコーヒー文化

2012/10/19
古坑コーヒーは台湾全土で知られるほど、名を広めている。(行政院農業委員会サイトより)
台湾の人たちが最も好んで飲む物と言えば、まずお茶が思い出される。しかし、台湾の人たちはコーヒーも大好きである。財政部の統計によると、1997年の台湾におけるコーヒー豆とその製品の輸入量は約7990トンだったが、2010年にはこれが2万5085トンに増えた。13年間で3倍以上になったのである。コーヒーの輸入金額は1997年の4460万米ドルから2010年には2.5倍近い、1億994万米ドルへと大幅に増えている。

コーヒー1杯に平均で10グラムのコーヒーを使うとして、2010年には台湾全土で17億8800万杯のレギュラーコーヒーが飲まれたことになる。国民1人が1年に約78杯飲んだ計算。2011年、国内の喫茶店は1592店舗、売上げは703億台湾元(約1906億日本円)で、これは過去5年間、毎年10~20%のスピードで成長している。台湾の人たちにとってもはや「コーヒー無しの生活」は考えられないといってもいいであろう。

台湾の人たちはコーヒーが大好きだが、コーヒー豆は長期にわたって主に海外からの輸入品に頼ってきた。しかし、近年は行政院農業委員会農糧署の指導と学者や専門家による研究、普及活動により、国産のコーヒー豆の品質が大幅に向上し、徐々にブランドを確立し始めている。

古坑コーヒーは台湾南西部・雲林県古坑郷で生産される。北回帰線上にあり、日照と雨量が豊かなことから、ここで生まれるコーヒーは香り高い一方で苦味が少ない。酸味の強いコーヒーが苦手な人に適している。もう一つの有名なブランドは、台湾中部・南投県恵蓀林場の恵蓀コーヒー。日本統治時代の1936年に北海道帝国大学(当時)が導入したもので、過去には米国の世界農産品大会で銀賞を受けたこともある。最大の特色は口に含んだときの味わいで、中性(わずかな酸味と苦味)で甘みがあり、香りが豊かなことである。

台湾におけるコーヒーの歴史を紐解くと、台湾の人たちが非常に早くからコーヒーと縁を結んでいたことに驚く。また、日本は台湾におけるコーヒー文化の啓蒙者である。日本統治時代、日本人は台湾の気候風土はコーヒーの栽培に適していると見て、アラビカ種を台湾東部の知本や瑞穂で大量に栽培した。

 

恵蓀コーヒーは過去に受賞記録も。(行政院客家委員会サイトより)

 

1991年には日本のコーヒーチェーン、ドトールコーヒーが台湾に進出、台湾初の喫茶店チェーンとしての経営形態を確立、その後の台湾におけるコーヒーショップを「チェーン店」の方式で発展させることとなった。イタリアやパリでコーヒーを飲むには喫茶店かオープンカフェに行かねばならないのと異なり、台湾には独特のコーヒー文化が築かれた。台湾でコーヒーを楽しむ場所は喫茶店とは限らない。コンビニエンスストアもプライベートな喫茶店になりうるのである。機会があれば、台湾の人たちと同じように、コンビニエンスストアで香り高いコーヒーを注文し、テイクアウトしてみてはどうであろう。

 

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