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台湾鯛「ヒレ」がサメを救う?

2011/08/30
台湾鯛の「代用フカヒレ」が普及すれば、サメが生きたままヒレを切り取られることもなくなるかも。台湾のソフトパワーは領域を問わず、活躍の場を広げている。(中央社ニュースサイトより)
「台湾鯛」は台湾を代表する養殖魚の一つ。年間の輸出額は10~20億台湾元(約26~53億日本円)に上る。「台湾鯛」は、ティラピアの改良種。ティラピアは中国語では「呉郭魚」と呼ばれ、湖や池、川など様々な環境に適応し、繁殖力が強いことから、人類にとって未来の重要な蛋白源になるとも言われている。 そのティラピアの改良種、「台湾鯛」はまず、刺身状の切り身が主な商品となったが、雲林県口湖郷漁類生産合作社では鱗が含む豊富なコラーゲンに着目、従来、1キロ15台湾元(約40日本円)の飼料の原料にしていた鱗から1キロ40万台湾元(約105万日本円)の価値を持つコラーゲンを抽出することに成功、高価格の美容ケア製品を作り出して話題になった。 そしてさらに、同合作社ではこのほど、「台湾鯛」の尾ヒレでフカヒレに代用する研究に取り組んだ結果、「ばらけた」フカヒレ状の商品に加工することに成功。8月中旬に「鯛魚翅」と名づけて(フカヒレは「魚翅」という)売り出したところ、品質はフカヒレと同じながら価格は半分という魅力で、たちまち、日本と香港の飲食業者から年間80トン納入の契約を得たという。 フカヒレには一塊の「排翅」、つまり「姿煮」状のものと、一本一本ばらけた「散翅」がある。台湾では「排翅」が歓迎されるが、中国大陸では北方は「排翅」、南方は「散翅」という好みの違いがあるという。「鯛魚翅」は「散翅」だが、食感はフカヒレとほぼ同じで市場は大きい。 「台湾鯛」の尾ヒレはこれまで、捨てるか、骨と共にすりつぶして養殖魚の飼料にするかしかなかったが、「鯛魚翅」に生まれ変わらせることで、廃物利用をして経済価値を生み出した。それだけではない。生きながらヒレを切り取られて死んでいくサメたちを大幅に減らせる、野生動物保護の可能性も生み出した。同合作社では今、「台湾鯛」の眼球からヒアルロン酸を取り出す研究を進めている。 独創的なアイデアと研究といったソフトパワーは中華民国(台湾)の得意技。ソフトパワーを注ぎ込まれたティラピアは、「国宝魚」と呼ばれるにふさわしい活躍を見せてくれるだろう。

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